研究分担者 |
雨宮 尚之 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (10222697)
CAMPBELL Arc ケンブリッジ大学, 超伝導学際研究センタ, 副所長
CARDWELL Dav ケンブリッジ大学, 超伝導学際研究センタ, 副研究部長
GLOWACKI Bar ケンブリッジ大学, 超伝導学際研究センタ, 副研究部長
塚本 修巳 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30017975)
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研究概要 |
電力ケーブルを超伝導化することができれば,電力輸送効率を大幅に向上できる可能性がある他,狭い空間で大電力を輸送することが可能となる.本研究では,酸化物超伝導体を交流で用いて電力用ケーブルを構成するにあたっての最重要課題である交流損失について,超伝導体の電磁現象や物性の基礎まで立ち返りその低減法を確立することを目的として,酸化物超伝導体の通電損失・磁化損失の実験的定量化,集合導体の試作と交流損失測定を行い,線材レベル及び集合導体レベルでの交流損失低減法の提案を目指した.酸化物テープ線材の通電損失を測定した結果,n値や線材断面内の臨界電流密度分布が損失特性に影響を与えることがわかった.n値を大きくし,外周部の臨界電流密度を大きくすることにより,通電損失を低減できる.磁化損失測定値は有限要素法による理論値とよく一致し周波数の影響がみられた.実測の困難な外部交流磁界下で交流電流を輸送するという電力ケーブル中での線材の電磁環境と等価な電磁環境での全交流損失を理論的に評価した.ツイスト無しの線材についての解析結果によれば,外部磁界がテープ面にほぼ平行な電力ケーブル中に相当する電磁環境下では,全損失は,通電損失と磁化損失の単純和とそれほど変わらない.ツイストされた酸化物超伝導線材については,交流磁界下での交流通電時の全損失は,ツイストピッチを10mm程度にすることにより最小化できることを有限要素法による電磁界解析結果から指摘した.集合導体及び集合導体を模擬した構造の線材群の損失測定結果によれば,両側に隣接線材のある線材の交流通電損失は1本単独通電時の損失よりも下がることが明らかになった.すなわち,集合導体を構成する素線の間隔を狭くすることにより交流損失を低減できる可能性がある.また,ケーブル各層の撚りピッチの調整も損失低減に重要である。
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