研究課題/領域番号 |
08044137
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
長村 利彦 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90117200)
|
研究分担者 |
FURLONG Dona CSIRO(オーストラリア国立研究機関), 室長
MULVANEY Pau メルボルン大学, 化学科, 講師
GRIESER Fran メルボルン大学, 化学科, 助教授
川井 秀記 日本学術振興会, 特別研究員
坂口 浩司 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (30211931)
|
キーワード | 分子組織系 / フェムト秒レーザー / 半導体超微粒子 / 過渡ブリーチング / エキシトン / トラップサイト |
研究概要 |
ナノメーターサイズの超微粒子および分子組織系の超高速光応答を調べることを目的とし、静岡大学、メルボルン大学、CSIROの研究者が分担・協力して以下のような成果をあげた。 1)アラキジン酸単分子累積膜、アニオン性のナフィオン高分子膜、両親媒性分子の自己組織化膜、及び水溶液系で、Cd^<2+>イオンを担持あるいは分散し、硫化水素と反応させてナノメーターサイズのCdS超微粒子を形成した。さらにアンモニアによる前処理、CdS生成後の熱処理、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールによるキャッピング処理、水酸化カドミウムによる2層構造超微粒子形成などの表面処理を行った。 2)これらのCdS超微粒子を400nmのフェムト秒レーザーで励起し、過渡ブリーチング測定を行った。いずれの試料でもエキシトン生成による1ピコ秒以下の極めて速い過渡ブリーチングが観測された。その再結合あるいはトラップされたものの消滅などによる回復挙動は、超微粒子サイズ、表面処理、マトリクスの微視的環境などにより大きく影響された。 ナフィオン膜系で、大きな超微粒子(約5nm)では、回復にともない過渡ブリーチングスペクトルの極大波長が長波長側にかなりシフトした。キャッピング処理によりそのようなシフトはなくなった。過渡ブリーチングの時間依存性は、多くの場合2成分とオフセットで表されたが、長寿命と短寿命成分の割合はサイズおよび表面状態に依存した。水酸化カドミウム層をつけた2層構造超微粒子では、過渡ブリーチングスペクトルはかなりブロードで粒子径の分布が広いことがわかった。さらに処理前に比べ全体的に寿命が短くなり、長寿命成分の分率もかなり減少し、表面のトラップサイトが減少していることがわかった。
|