研究分担者 |
EAVES Lauren ノッティンガム大学, 理学部, 教授
森藤 正人 大阪大学, 工学部, 助手 (00230144)
森 伸也 大阪大学, 工学部, 講師 (70239614)
谷口 研二 大阪大学, 工学部, 教授 (20192180)
三浦 登 東京大学, 工学部, 教授 (70010949)
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研究概要 |
本年度は,実効的に結合量子ドット系とみなせる,強磁場下におかれた半導体超格子を流れるトンネル電流の測定およびその解析,InAs量子ドットの自己形成法を用いた作製とその強磁場下における光学特性の測定を行った.また,共鳴トンネル・スペクトロスコピー法を用いて,カオス的な電子軌道に対応するような量子状態の実験的・理論的研究も行った. 半導体超格子の成長方向に電界を印加すると,電子はワニエ・シュタルク局在するようになる.そのような状態に,さらに,電界に平行な方向に磁界を印加すると,面内の運動がランダウ量子化され,印加磁界が強い場合は,実効的に量子ドット列とみなせる.このような系におけるホッピング伝導の実験的・理論的研究を行った結果以下のような結論を得た. ・GaAs/AlAs超格子を用いてホッピング電流の測定を行った結果,強磁場下において音響フォノンの反共鳴現象に基づくと考えられる電流の極小値を観測した. ・観測した電流の極小値から得られるフォノンの分散関係がバルク音響フォノンの分散に良く一致することが確かめられ,その結果より,フォノンの分散関係を本手法を用いて測定できることを示した. ・限られた波数領域の反共鳴現象のみが観測された測定結果を,井戸間の行列要素のみに起因する反共鳴現象と,井戸内の重なり積分による形状因子に起因する反共鳴現象との整合性により説明した. ・ランダウ準位をΔn個変わりながら,Δp個隣の井戸へと擬弾性的にトンネルすることによる電流ピークを観測した.特に最大Δp=3の信号まで観測した. ・擬弾性的トンネル電流ピークは,各(Δn,Δp)ごとに,低温では1個のピークが見られたが,温度が上昇するにつれて,低バイアス側に新たなピークが出現することを実験的に見出した. ・擬弾性的トンネル電流ピークの温度依存性を反共鳴現象に基づくトンネル行列要素の波数依存性により説明した.
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