研究課題/領域番号 |
08044146
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾浦 憲治郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029288)
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研究分担者 |
サラニン A. 科学アカデミー(ロシア), 主任研究員
リフシッツ V. 科学アカデミー(ロシア), 教授
アイゼル I. ミュンヘン大学, 工学部(ドイツ), 教授
綿森 道夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80222412)
片山 光浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70185817)
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キーワード | 水素媒介エピタキシー / 表面水素 / 金属 / シリコン界面 / サーファクタント / 自己組織化 / STM / イオンビーム |
研究概要 |
本研究代表者らが見い出した、基板表面に予め吸着させた水素の介在によりその上でのエビタキシャル成長が著しく促進される現象である、「水素媒介エピタキシー」現象は、水素-表面相互作用の基礎科学の観点からのみならず、格子不整合系におけるヘテロエピタキシーの促進や原子レベルで急峻な界面形成の可能性などからも注目されている。本研究では、水素媒介エピタキシー機構の原子レベルでの基礎的解明、ならびに、半導体、金属、セラミックスなど種々の新物質の創製、あるいは水素をトリガーとする自己組織化による量子ナノ構造実現のための基礎データを提供することを目的とした。 本年度では、「水素媒介エピタキシー」現象に対して、原子レベルのメカニズムの解明ならびに、その現象を利用して、表面構造の自己組織化や原子レベルで平坦な薄膜の作成などの応用を試みた。その結果、以下のような新しい事実が得られた。 (1) 水素媒介エピタキシーをSi基板上のGeの薄膜成長に応用した結果、膜成長中の水素原子の添加により、水素サーファクタント効果が得られ、層状成長のモードに改善されることが分かった。水素原子は、膜成長中、表面に滞在したあと脱離することを見出し、水素が動的なサーファクタントとして作用することが分った。 (2) 水素をトリガーとする金属2次元相-金属クラスター自己組織化現象においては、下地のSiの再配列構造が水素終端によりそのまま凍結されることが、In/Siなどの系でみられ、Si基板表面構造もまた金属/Si初期界面の構造に依存して自己組織化しうることが分った。 これらの結果は、「水素媒介エピタキシー」のメカニズムの解明の鍵となるものである。
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