研究課題
生体は合目的的に最適設計されており、さらに力学的環境の変化に対して機能的に適応し、再構築(リモデリング)することが知られている。本研究では、これらの現象と機構を解析し、医学及び工学に応用することを目的とする。本年度は、研究遂行のための試験方法並びに解析手法に関する検討を行った。具体的には、まず細胞を培養しながら力学的負荷を与え、これに対する反応を正確に把握するための培養試験技術と評価方法に関する調査研究を進め、これらをもとに培養装置の試作(大阪大学、スイス連邦工科大学)、コラーゲンに使用する超小型引張試験機の製作、原子間力顕微鏡による細胞力学特性計測手法の検討(以上大阪大学)などを行った。また、力学的リンク機構を備える関節をシュミレートするための装置の設計(大阪大学)を進めた。さらに、骨に対する長期間負荷と除荷の動物実験技術、動物を生かしたままで血管に作用する負荷を任意に変化させるための実験方法などに関する検討(大阪大学、スイス連邦工科大学)を行った。また、生体組織の組織学的観察手法(王立ロンドン病院医科大学)と残留応力を最適設計性の立場から解析する方法(ブルガリア科学アカデミー)の検討を進めた。これらの研究成果を工学設計に応用するために、適応トラスの分散動作計画に関する予備的研究(大阪大学)を行った。これらの研究と平行して、動脈壁の弾性とその構成法則、それらに及ぼす力学的負荷、成長と加齡、疾患の影響、壁内応力分布と残留応力に関する従来の研究の文献調査を行い、研究者らの所見を交えて、報文とし、書籍の章の原稿として投稿した。
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