研究課題/領域番号 |
08044159
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井沢 英二 九州大学, 工学部, 教授 (50037751)
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研究分担者 |
LOWE Donald スタンフォード大学, 地質学科, 教授
田口 幸洋 福岡大学, 理学部, 教授 (00108771)
本村 慶信 九州大学, 理学部, 助手 (20037237)
渡辺 公一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (10182916)
緒方 靖哉 九州大学, 農学部, 教授 (20038277)
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キーワード | イエローストーン / マクラフリン / 地熱地域 / シンター / 好熱性微生物 / 熱水 |
研究概要 |
1.イエローストーン国立公園の調査については、熱水湧出域の環境計測、微生物コロニーの形態観察、試料採取などを実施した。熱水湧出地のうち、センティナルメド-およびオクトパススプリングを中心にシリカ沈殿物と好熱微生物の観察と温度、pHの測定を行い、水・岩石・微生物試料を採取した。現在、イエローストーンで採取した水の分析、シリカ沈殿物のX線回折による検討、好熱微生物の培養条件の検討とDNAによる系統分類調査が進行中である。 2.イエローストーンの調査において、好熱微生物の種類と形態をコントロールする要素として、熱水の温度・化学組成のほか、流れの速度が重要であることが示された。特に、超高温環境に生息する微生物(ピンクフィラメント)は、同公園のオクトパスプールほか限られた地点にのみ知られていたが、今回の調査で新たに別の熱水湧出地点から類似した微生物が見出された。現在、新種であるかどうかを調べている。また、イエローストーンの微生物の一部について培養が可能であるとの見通しを得た。 3.カリフォルニア州クリア-レイク火山地域のウイルバースプリングズの温泉沈殿物・シリカ岩およびマクラフリンのシンターの調査と試料採取を行った。特に、マクラフリン鉱山構内に産出するシンターは、生成時期ががおよそ200万年前とされ、イエローストーンで見出されたものと類似した微生物組織が存在する。地質学的時間の経過により、微生物の保存状態や組織がどのように変化するかを研究する試料として重要である。 4.相手国研究者を招いて、宮城県鬼首、秋田県秋の宮と大分県九重火山地域のシリカ沈殿物、地熱発電所シリカスケールの調査を行った。秋の宮・九重地域のシリカ沈殿物の体積構造と成長組織に、イエローストーンの沈殿物と共通する特徴を見出したので、過去の地質時代の沈殿物の生成環境を解析する可能性が得られた。
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