研究分担者 |
WILMSHURST S 熊本大学, 工学部, 外国人特別研究員
LEE M.M.K. ウェールズ, スウォンジー大学・土木工学科, 講師
VANDER Vegte デルフト工科大学, 土木工学科, 研究員
WARDENIER J. デルフト工科大学, 土木工学科, 教授
越智 健之 熊本大学, 工学部, 助教授 (20145288)
黒羽 啓明 熊本大学, 工学部, 教授 (30040372)
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研究概要 |
1.円形鋼管分岐継手のすべての実験結果と数値解析結果をデータベースとして収集した。このデータベースは継手の形状をT,X,K,TT,XX,TX,KK継手に分類しており、そのデータ数は2,330である。収録項目は、形状変数(17項目)、材料変数(4項目)、作用荷重(9項目)、変形および破壊形態(5項目)、参照文献、注釈などにより構成されている。なお、このデータベースは著者等のホームページに置いており、常に更新して行くことにした。 2.鋼管分岐継手の既存設計式(AWS,API,Cidect,日本建築学会など)は設計者にとって、複雑であり、また、理解が困難であるので、単純な設計式を導く第1段階として、X,T,TT継手の終局耐力式の数式モデルを提案した。この数式モデルには複雑な形状変数は用いないことするとともに、TT継手の終局耐力式は継手の破壊形態に従って、X継手およびT継手からの連続した関数とすることを原則としている。この新しい終局耐力式は鋼管分岐継手の実験と信頼性のある数値解析の結果のデータベースを用いて、多重回帰分析の手法によって誘導した。この終局耐力式は、既存の耐力式より単純な式にも拘わらず、同等の精度を有することを確認した。 3.円形鋼管立体トラスに地震力や風荷重がトラスのスパン方向と直交して作用する場合を想定した逆対称荷重を受けるKK継手の実験を行い、実験結果に数値解析の結果を加えて、逆対称荷重を受けるKK継手の耐力式を提案した。この耐力式は実験結果に対してよく耐力を予測しているものの、限られた試験体数により導かれたため、その範囲以外の継手形状に対しては信頼性が低い。また、立体KK継手の挙動についてより理解を深め耐力式の有効性を確認するため、継手形状が立体KK継手と比べて簡単な平面KK継手について9体の逆対称載荷実験を行った。 4.鋼管KK継手の有限要素解析モデルを実験結果と比較しながら検討した。鋼管分岐継手の非線形有限要素解析は溶接部分のモデル化などの研究成果によって、亀裂の問題を除けば終局挙動をうまく再現できるまでに至った。厚肉鋼管のKK継手の設計をAWS規準に基づいて行えば、危険側になるという指摘がある。海洋構造物を念頭に入れれば、γ=9〜40程度の範囲をカバーすべきであるが、既存の実験範囲はγ=17.5〜24.5である。今回γ=13.5の実験を行ったので、この実験結果と有限要素解析結果の調整を行った。結論として、鋼管接合部特有の溶接の残留応力や冷間成形による残留応力の問題は残るが、厚肉鋼管継手についてもγ=17.5〜24.5と同様な精度で終局挙動を再現することができることを確認した。
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