研究課題/領域番号 |
08044161
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
伊藤 昭彦 大分大学, 工学部, 助教授 (30127972)
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研究分担者 |
小西 忠司 大分工業高等専門学校, 助教授 (00225468)
鳴海 明 神奈川工科大学, 工学部, 助教授 (50100764)
CREMERS Clif ケンタッキー大学, 工学部, 教授
KOZO Saito ケンタッキー大学, 工学部, 教授
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キーワード | 燃焼 / 液体燃料 / 火炎伝ぱ / 微小重力 / 表面張力流 / 浮力 / 引火点 / 蒸気濃度 |
研究概要 |
液体燃料表面上の火炎伝ぱに及ぼす重力の作用を明らかにすることを目的に、まず、地上(重力場)での火炎伝ぱ実験として 1.液体燃料引火点温度近傍(Sub-flash状態)およびこれより十分低い状態での火炎伝ぱ速度、PTV法とホログラフィ干渉法(HI法)による液相速度と温度の同時測定 2.引火点温度以上(Super-flash状態)での火炎伝ぱ速度およびHI法による燃料蒸気濃度の測定、を行った。とりわけ(1)の状態での液相内の渦発生に果たすマランゴニカと浮力の影響に注目して火炎伝ぱ機構を実験的に調査した。次いで、NASAルイスセンターのSAL(Spread Across Liquid)プロジェクトで行われたロケットによる微小重力場での火炎伝ぱ実験との比較検討を行い、火炎伝ぱに果たす重力の作用について検討をし、火炎伝ぱの理論的なモデルを提案した。 以上の実験と理論的検討から、以下の新たな知見を得た。 1.のSub-flash状態に対して、 (1)伝ぱする火炎先端前方の液相内での渦の生成は第一義的にマランゴニカに起因するが、渦の成長過程およびその大きさには浮力(重力)が影響している。 (2)渦は本質的に3次元の構造をもつ。これまでの数値モデルで液相内の浮力の影響が現れなかったのは、おもに2次元を仮定したことによる。 (3)Sub-flash状態で生じる振動火炎伝ぱ(Pulsation)は、液相内の渦の生成過程と気相内の可燃混合気の形成過程の相互作用によって起こる。 2.のSuper-flash状態に対して (4)火炎伝ぱ現象は液相内の流動に無関係となり、気相の蒸気濃度分布に依存する。 (5)蒸気濃度分布はトレイの幅方向にほぼ均一であり、したがって現象を2次元とした解析が可能である。 (6)蒸気濃度分布は燃料表面温度に依存する。表面温度は蒸発による温度降下と、これに起因した対流の発生の相互効果によって決定される。
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