研究課題/領域番号 |
08044177
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石田 博樹 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (70176197)
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研究分担者 |
HERNANDE Z J Inst. Super Polytechnique, Cuba Univ. of or, Director
吉本 康文 新潟工科大学, 機械制御工学科, 助教授 (90167023)
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キーワード | 省エルネギ対策 / エマルジョン燃料 / 植物性焼却廃棄物 / デイ-ゼルエンジン / 排気ガスの浄化 |
研究概要 |
1996年6月末より約一ヶ月間の調査研究の中で、主にキューバ国サンチアゴ・デ・ク-バ市にあるオリエンテ大学の総合工学研究施設にて、エマルジョン燃料のデイ-ゼルエンジンへの応用の実験的研究を行ってきた。 オリエンテ大学の総合工学研究施設のDr.J.F.Hernandezの研究チームは、キューバ産のさとうきびの収穫後に出る大量の植物性焼却廃棄物の水溶液が界面活性剤として有効であることを見出し、それを利用して石油系燃料をエマルジョン化し、そのエマルジョン燃料をデイ-ゼルエンジンに用いることにより、省エルネギ対策と排気ガスの浄化対策に利用することを精力的に研究している。 我々の研究室で現在用いている非イオン系界面活性剤を、我々は日本から持参し、エマルジョン化剤としての効果、即ち、エマルジョン燃料の安定性を、先方の植物性焼却廃棄物の水溶液を利用した界面活性剤と比較し、検討した。また、それぞれのエマルジョン燃料により、実機の中型デイ-ゼルエンジン(燃料直噴型、直列6気筒、圧縮比17、排気量10,3l)を運転し、性能試験(定常2100rpm)を行ない、結果を比較して検討した。その結果、以下のことが分かった。 (1)さとうきびの収穫後に出る大量の植物性焼却廃棄物の水溶液(濃度0.5〜5.0Vol%)により調製したエマルジョン燃料の安定性は、非イオン系の合成界面活性剤を用いたエマルジョン燃料のそれに比べてやや劣るが、エンジンの運転における実用上は、問題がない。 (2)デイ-ゼルエンジンの機関性能は、運転条件とエマルジョン燃料の水分割合(最高20%)により大きく変化し、本実験の範囲では、両者の界面活性剤による違いを特定できない。 (3)本実験の範囲では、エマルジョン燃料の燃焼時に特有な、噴霧燃料粒子の微小破裂現象の効果についての、両方の界面活性剤による違いを特定できない。 (4)デイ-ゼルエンジンの排気ガス中のすす濃度は、運転条件とエマルジョン燃料の水分割合(最高20%)により大きく変化し、本実験の範囲では、両者の界面活性剤による違いを特定できない。 以上の結果から、さとうきびの収穫後に出る大量の植物性焼却廃棄物の水溶液はエマルジョン燃料の調製のための界面活性剤として有効であること、一方、植物性焼却廃棄物の水溶液(濃度0.5〜5.0Vol%)によるエマルジョン燃料の安定性、デイ-ゼルエンジンの機関性能、そして排気ガス中のすす濃度に対するエマルジョン燃料の効果について、今後も詳しく検討していく必要がある、として一致し、了解した。
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