研究課題/領域番号 |
08044179
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
松本 修自 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター・保存計画研究指導室, 室長 (80099960)
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研究分担者 |
村田 健一 奈良国立文化財研究所, 建造物研究室, 主任研究官 (50280607)
木村 勉 奈良国立文化財研究所, 建造物研究室, 室長 (60280608)
後藤 文子 東京国立博物館, 学芸部・普及室, 研究員 (00280529)
宮本 長二郎 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (60261252)
斎藤 英俊 東京芸術大学, 美術学部大学院, 教授 (30271589)
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キーワード | 歴史的景観 / 保存環境 / 修復技術 / 制度的枠組 / 修理設計 / 施工管理 / 調査技術 / 整備手法 |
研究概要 |
今年度は、保存のよい旧東西西独の二つの街(リンブルク・マイセン)を特定し、実際の修復例にあたって、その経緯・調査手法・修復技術等をつぶさに調査することができた。また補足的に、いくつかの都市(ハ-メルン・ゴスラ-・マ-ルブルク)の歴史的景観の保存環境・制度的枠組を調査し、昨年度の成果とあわせてドイツ各州の町並保存の政策的傾向を知ることができた。 リンブルクにおいては、13棟の修復例にあたり、主として所有者・建築家に対しての聞き取りにより、修理・整備に際しての材料・技術、ならびにデザイン・コンセプトの傾向を調査した。一般的に、当初復原の感覚は少なく、外観は現状を保存し、内装については鉄・ガラス等の新材料を積極的に導入し、建築家の主張を打ち出した快適な空間を目指しているように見受けられた。成功例もある反面、遺構の歴史性が損なわれている場合に批判の余地がある。 マイセンにおいては、特に重点的に数棟の修復例を調査し、修復がどのような経緯によって実施され、所有者・建築家・行政がどのような役割を果たすのか、また修理方針にしたがってどのような技法が採用されたのか、など修理の実際について詳細に明らかにすることができた。日本との比較考察により、今後のよりよい修復のありかたを検討する充分な基礎を築き得たと考えられる。 ドイツでは修復の設計、施工管理を一般の建築家が行ない、それに先立って調査専門の業者が、建物の現状および復原的調査を請け負うが、こうした職能分化による技術の進歩については学ぶべき点も多い。
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