研究課題
下記に、今年度にえられた主な実験結果について要約する。1. 細胞性粘菌Polysphondyliumの後期発生では、第一次柄にたいして第二次の分枝形成が起こる。この第二次分枝にたいしてgp64が分枝形成の抑制因子として働く可能性が示唆された。つまり、gp64のコーディング領域をDictyosteliumの柄細胞特異的遺伝子であるecmBプロモーターにつなぎ、強制・持続的発現をさせたところ、粘菌Polysphondyliumは集合体を形成するがそれ以降の発生が停止した。この事実は膜タンパク質gp64が粘菌の形態形成を抑制する事を示している。2. Dictyosteliumの集合後期の細胞接着補助因子LagC関して、この遺伝子と相同性を保持するlagCIIと名ずける遺伝子が存在が判明し、この遺伝子の破壊を成功させたが、発生には影響が現れなかった、そこでLagCとLagCIIの二重破壊株を作成したところ、この株の表現型はLagCII欠損株とほぼ同じであった。そこで現在はLagCIIの過剰発現株を作成して、さらに機能の解析を進めている。3. Dictyosteliumの集合後期の新規の細胞接着因子を同定する目的で、LagCとgp80の二重遺伝子破壊株を作成し、それらの細胞接着能を発生過程で解析した。野生株、LagC欠損株、gp80欠損株、LagCとgp80二重欠損株の順にEDTA耐性の接着能の出現が遅れてくる事を見いだした。このことはgp80やLagCとは別の接着因子が後期発生で出現する事を示唆している。
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