四肢の再生は、切断面の細胞が脱分化して再生芽とよばれる細胞群を作り、この細胞群がもとと同じ軟骨等のパターンを作る過程である。四肢の再生芽の細胞はレチノイン酸に対してさまざまな反応を示し、位置価の基部化、後方化、腹側化を引き起こす。しかしこれらの研究は有尾両生類であるメキシコサンショウウオを対照として行われたもので、無尾両生類の肢芽を対象とした研究はほとんどない。 本研究は、上記のメキシコサンショウウオ再生芽の位置価のレチノイン酸による変更を明らかにしたStocum教授と共同して、無尾両生類であるアフリカツメガエルの肢芽の再生系でのレチノイン酸の作用を解析する事を明らかにしたものである。 本研究の結果、以下のことが明らかになった。 1.両生類の肢芽及び再生芽ではじめて、極性化域(Polarizing Region)のマーカーであるSonic Hedgehog遺伝子の発現を明らかにした。またこの遺伝子の発現 パターンの解析により、レチノイン酸で誘導されると考えられ、前後軸方向を決定する領域と考えられる極性化域の特徴を明らかにした。 2.レチノイン酸は肢芽の再生を阻害した。上記遺伝子の発現等を調べて、阻害にも関わらず、位置価の変更が起こっているかを調べる必要がある。 3.ツメガエル肢芽間充織を細胞に解離し、再凝集させて、移植すると数十本の指を含む過剰肢が形成された。前後、基部一先端部方向の調節が無くなって、指の場が多数できた結果と考えられ、現在、レチノイン酸の作用を調べている。
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