研究課題
1)ラットIGFBPsの単離・精製およびcDNAのクローニング・ラットIGF-Iレセプター特異抗体の作製:ラットIGFBP-1、BP-2、BP-4を、これらの結合タンパク質を大量に生産している動物細胞の細胞培養液より単離・精製した。さらに、クローニングしたIGFBP-3cDNAを組み込んだ発現ベクターをCHO細胞に導入し、このタンパク質を大量に生産する細胞株の樹立を試みている。また、ラットIGFBP-1、BP-5の全タンパク質をコードするcDNAをクローニング、現在、これらを発現ベクターに組み込んでいる。同時に、IGF-IレセプターC末端部分ペプチドとGSTの融合タンパク質を作製中である。IGF-I標的細胞におけるcAMP情報伝達経路とIGF-I情報伝達経路の相互作用の解析:ラット甲状腺由来細胞FRTL-5をあらかじめcAMP情報伝達経路を刺激し、この後IGF-Iで刺激すると、細胞増殖が相乗的に誘導されることを発見したが、この結果は、cAMP刺激により、細胞がIGF-Iにより反応するようにprimingされることを示している。さらに、細胞のcAMP情報伝達経路を刺激する際にチロシンキナーゼ阻害剤であるgenestineを共存させると、IGF-Iとの相乗作用が観察されなくなり、cAMPによる前処理は、。IGF-I非依存性および依存性チロシンリン酸化を増強することが明らかとなった。これらの結果は、cAMP処理により活性化されるある種のチロシンキナーゼが、IGF-Iに対するprimingに重要な役割を果たしていることを示しており、これは極めて新しい知見である。現在,cAMP処理により活性化されるチロシンキナーゼの同定を進めている。さらに、cAMP経路とIGF-Iをはじめとしたチロシンキナーゼレセプターを介した経路の情報の合流が、種々の細胞で普遍的に引き起こされることを明らかにした。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)