研究課題/領域番号 |
08044195
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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研究分担者 |
小川 治夫 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (40292726)
STOKES David スカボール分子医学研究所, ニューヨーク大学・医学センター・細胞生物学教室, 準教授
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キーワード | イオンポンプ / カルシウムポンプ / 能動輸送 / 三次元構造 / 電子顕微鏡 / 構造解析 / 膜蛋白質 |
研究概要 |
本研究は、イオンポンプの輸送サイクルの幾つかの状態での三次元構造を電子線構造解析によって可視化する事により、イオンの能動輸送の構造的実態を明らかにしようとるすものである。対象とした筋小胞体カルシウムATPaseは、筋肉の弛緩時にカルシウムイオンを汲み出すポンプである。能動輸送の実態の解明には生理的に異なった状態の構造を解明することが必須であるが、本研究では特に、カルシウムが存在しない時にできるチューブ状結晶の高分解能解析と高カルシウム濃度でできる三次元結晶の構造解析に重点をおいた。チューブ状結晶に関しては、昨年度に引き続きthapsigarginの結合部位の同定とその状態の高分解能構造解析に取り組んだ。このために、代表者が渡米し、解析の最終段階と結果の解釈について議論した。その結果8Å分解能のマップを得ることが出来、Nature誌上に発表する(印刷中)。このマップでは10本の膜貫通へリックスが解像できており、イオン通路と思われる孔もみえる。代表者側も、CrATPを結合させた構造を解き、ATP結合部位を同定した(Biophys.J.に発表)、同じく8Å分解能で解析を行ったが、米国側の顕微鏡の方が高性能であったこともあり、thapsigargin存在下の構造のマップの方がすぐれていた。三次元微結晶に関しては、とりあえず7Å分解能で構造を解くことが目標である。そのために、代表者と分担者(小川)が渡米し、具体的な方針について討論した。また、膜面に平行に見た像が9Å分解能で得られ、カルシウム非存在下の構造とは大きく異なっていることもわかった。これも、共同研究の成果としてまとめ、投稿中である。
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