研究分担者 |
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60186723)
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
石原 邦 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70014925)
岩間 和人 北海道大学, 農学部, 助教授 (70144219)
HSIAO Theodo カリフォルニア大学, 土地・空気・水資源学科, 教授
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研究概要 |
環境維持型作物生産実現のためには、養水分の吸収や植物ホルモンの合成など、作物の生長に大きな影響を及ぼす根の乾物生産に果たす役割をまず明確にすることが重要である。本研究は水環境の著しく異なる立地に生育する作物を用いて光合成、乾物生産、水利用効率を根の機能に着目しつつ明らかにすることを目的として行なった。以下は得られた成果の概要である。 1. デービスと札幌で生育したジャガイモ品種ラセットバーバンクはいずれも、低水分土壌条件では根系の発達が促進されたが,根系の発達程度は常にデービスに生育したジャガイモの方がまさった。 2. 圃場に生育する作物の水利用効率を簡易なパラメーターで推定するモデル式を作成し、ワタとトウモロコシで検討した結果、本式で個体だけでなく、個体群の水利用効率をかなり正確に推定できることがわかった。 3. 作物は低土壌水分条件に生育すると地上部に比較して根系がよく発達する。低土壌水分条件に生育した後,湿潤土壌条件に生育させると葉の老化は著しく抑制され,葉の光合成速度も高く維持される。この時には根からの出液速度が著しく増加し、地上部に送られる窒素とカリウムの総量がとくに著しく増加していた。 4. 土壌水分が低下すると老化に伴う光合成速度の低下が促進される。トウモロコシでは低土壌水分条件では地上部に送られる窒素、サイトカイニン量が低下していた。低土壌水分条件に生育するトウモロコシの茎基部に硝酸アンモニウム、リボシルゼアチン溶液を注入したところ、後者で個体の老化が明らかに抑制された。 6. 本研究を通じて,根の生長,根系の発達は水分条件によって大きく影響を受けること,根系の発達程度は根の機能を通じて葉の光合成に影響し,水利用効率にも大きく影響することがわかった。
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