研究課題/領域番号 |
08044198
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
三村 徹郎 一橋大学, 商学部, 助教授 (20174120)
|
研究分担者 |
SMITH F.A. Department of Botany Univ. Adelaide, Professor
DIETZ K.ーJ. Lehrstuhl Botanik I Univ. Wuerzburg, Senior Lec
|
研究期間 (年度) |
1996
|
キーワード | 液胞 / 液胞膜 / 大麦 / 車軸藻 / 植物栄養 / プロトンATPアーゼ / 無機イオン / 無機リン酸 |
研究概要 |
植物の無機イオン代謝に関する課題は、栄養塩としての無機イオンがどの様に根から吸収され、その後植物全体にどのように分配されるかということと、それぞれの細胞に分配されたイオンが各細胞内でどのように機能するかという二点に焦点を絞ることができる。いずれにおいても各生体膜のイオン輸送系が重要な働きをしている。植物細胞内の液胞は、各種イオンの細胞内外への分配、濃度維持あるいは蓄積装置として、極めて重要な細胞内小器官である。本研究では、液胞の植物無機イオン代謝における働きを、生理学から分子生物学にいたる横断的な手法を駆使して総合的に理解することを目指した。 これまでにも、本研究参加者間で共同研究が進んでいたことから、本年はまずDietz博士が日本において三村と実験を開始した。これまでにDietz博士の研究室で開発された手法に従って、大麦や三村の研究室で新たに開発されたマングローブの培養細胞から液胞膜を単離し、液胞膜イオン輸送系で最も重要なH^+-ATPaseの制御機構を、ATPase活性とH^+輸送能の両側面から測定した。栄養塩を調節して生育した実験材料からは、顕著なATPase活性の変動を見いだすことはできなかったが、すでに三村等が車軸藻で報告していたリン酸やアデニンヌクレオチドを介した制御機構が大麦液胞の光酸性化を説明できることを明らかにした。また酸化還元状態の変化が、ポンプ活性を大きく変えることを見いだし、この生理的意味と分子機構の解析を進めつつある。その後、三村がオーストラリアでSmith博士と二度にわたり共同研究を行った。ここでは、車軸藻のリン酸輸送活性と液胞リン酸濃度の相関を検討できる系の開発に成功し、これまで推測されてきた液胞リン酸濃度がリン酸輸送活性を制御する可能性を排除することに成功した。現在は液胞膜でのリン酸輸送活性測定系の開発を進めている。
|