研究概要 |
味覚は舌上皮上にある味細胞によって感知される.その感知機構は味細胞膜上にあるチャネルに味物質が直接作用する場合と受容体に作用する場合が考えられる.うま味受容は受容体を介して行われるが,研究の方向づけのために主要な研究室を訪問し学会に発表されていない情報を収集した結果、甘味・苦味に関与するGたんぱく質がうま味に関与していないであろうという情報を得た。本研究では,この様に他の基本味とは異なるうま味の受容メカニズムの解明を目的として国際的に共同して研究を行った. 方法は細胞内カルシウムの変化と細胞応答(膜電位・膜電流)の変化を光学的手法と電気生理学的手法を用いて測定した.これにより、少なくともL-AP4、NMDAタイプの複数のグルタミン酸受容機構を味細胞は持っていることがわかった。そしてL-AP4系の応答にはKチャネルの関与が示唆された.また,MSG応答時に関与するイオンとチャネル特性について調べ、複数のグルタミン酸受容タイプに関わるイオンチャネルのイオン選択性について明らかにした. この成果を,国際シンポジウム(International Symposium of Olfaction and Taste)が米国において開催されたため林・松本・呉が渡米し研究成果の発表を行うと共に,国外グループと綿密な打合せを行った.また成果の一部は,1996年,1997年日本味と匂い学会においても発表されており,さらに1998年ECRO(欧州化学感覚学会)において発表される予定である.
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