研究概要 |
原核生物由来の最初のカルボキシルプロテアーゼ(CP)であり,且つ,ペプスタチン非感受性CPであるPseudomonas sp.(PCP)とXanthomonas sp.(XCP)の酵素を始め,その後発見されたBacillus coagulans J-4酵素,クマモリシンの合計4種類の酵素を対象に反応速度論的解析を加える。その成果を基にこれらCPの構造と機能を総合的に考察する。更に,CPの進化を考察すると共に,CPの全体像を探る。 1.野生型酵素の解析(実施場所:Dunn研究室) 本年度はPCPとXCPを対象に新シリーズの基質を用いて速度論的解析を行った。その成果はJ.Biochem.に投稿中。 2.触媒残基の同定(実施場所:小田研究室) 一次構造上,PCPとXCPは50%以上の相同性が認められるが,ベプスタチン感受性CP(Aspartic proteinase)とは全く相同性が無く,更に,既報のCPに例外なく認められる触媒残基配列(D^*-T-G,D^*:触媒残基)も無い(J.Biol.Chem.,269,1994)昨年,遺伝子工学的方法で推定した両CPの触媒残基の確証を得る目的で,現在,^<13>Cラベル化カルボジイミドを用いて検討中である。 3.Bacillus sp.J-4 CP遺伝子のクローニング(実施場所:小田研究室) このことについて検討したが,クローニングには至らなかった。 4.動物細胞をs象に新規ペプスタチン非感受性CPの検索(実施場所:Kay研究室)諸事情によりs本年度は実施できなかった。サイエンス(Vol.277)にPCP,XCPと相同性のあるプロテアーゼがヒト脳リソソームに存在し,これが遺伝的に欠損すると幼年期に死亡することが発表された。我々も鋭意検討を加えたい。
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