研究課題/領域番号 |
08044214
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤原 昇 九州大学, 農学部, 教授 (60150512)
|
研究分担者 |
BLESBOIS Eli フランス国立家禽研究所, 主任研究員
BRILLARD Jea フランス国立家禽研究所, 繁殖研究部長
宗 知紀 九州大学, 農学部, 助手 (90221340)
服部 真彰 九州大学, 農学部, 助教授 (60175536)
|
キーワード | ベクター / 外来遺伝子 / X-gal染色 / 鶏胚 / PCR法 / 生殖巣 / 始原生殖細胞 / 過酸化脂質 |
研究概要 |
本年度は、初期の計画どおり研究を行うことができたが、途中フランス側の共同研究者である「ブリヤ-ト博士」が突如の急用のため来日が不可能となったのが残念であった。しかし、その分両国の研究分担者がその責務を背負い忠実に研究を計画に従って進めたために何等支障はなかった。 そこで、本年度に得られた成果の概略をまとめると以下のようになる。 1 鶏精子をベクターとして外来遺伝子を鶏胚に注入する方法について検討したが、精子細胞の膜に付着したと考えられる遺伝子が偶然に紛れ込むという現象で胚内に移入されたものと考えられる。しかし、X-gal染色あるいはPCR法によって導入遺伝子の確認をしたところ、明らかに胚内に外来遺伝子の存在が確認された。 2 ついで、鶏胚の初期発育ステージの半月紋(germinal crescent)の部位に外来遺伝子を注入することによって、生殖巣への移行を確認するための実験をおこなって、これが可能であることを観察した。さらに、この場合、とくに胚の発育ステージが大きな律速因子となっていることも明らかとなった。 3 さらに、ステージが進んだ胚の場合、胚周縁静脈あるいは卵黄動脈から採取した始原生殖細胞(primordialgerm cells : PGCs)を用いて胚間移植を行って、胚の生殖巣の発育がどのような影響をうけるかについて検討した。この場合にも、このPGCsに直接外来遺伝子を導入することができるという可能性も示唆された。 4 一方、精子の生理機能の調節に関しては、生殖器官内に豊富に存在するタウリンおよびヒポタウリンを用いて検討したところ、鶏精子に対しては、これらの物質は顕著な作用を及ぼさないということが明らかとなった。しかし、精子の膜の過酸化脂質の生産がこの物質によってある程度制御できることが示唆された。
|