研究概要 |
それぞれのミオシンアイソタイプに対してホモのアンチセンスをもつシロイヌナズナの系統を10種作成・分離し,それらの形態,発生および細胞質運動の変化について調べた.また,2種のミオシンアイソタイプについてのダブルアンチセンス植物を作成し,ホモ系統を分離した.さらに,標識された細胞器官の開発という研究計画に沿って,シロイヌナズナを,小胞体(ER)シグナル及びHDEL保持シグナルの塩基配列を含むGFP(緑蛍光性タンパク質)配列によって形質転換し,標識ERを生きたま微鏡観察できる植物を得た.これらの植物をアンチセンス植物と交配し,現在ダブルホモ系統の分離を行なっている。また,ミトコンドリアGFPシグナルによる形質転換も行い,現在ホモ系統の分離を行っている.GFP-ERアラビドプシスを用いて,初期発生中にあらわれる新しいタイプのERを発見した。この初期のERは多孔のシート状で、細胞が発達の最終段階に近付くに従って、一般に観察される網状の表層ERへと徐々に変化する。さらに根毛についても新しい発見があった。植物におけるERの動きは明らかにアクチン-ミオシンに基づく動力系によってコントロールされている。アンチセンス植物のいくつかの系統は明確な表現型を示す。このことは国際会議で報告した。要約すると、研究はなお継続中であるが、この研究を通していくつかの重要な発見がなされた。また、興味ある突然変異株の分離に成功したことは、この分野の研究にさらなる新しい知見を加えることに役立つであろう。
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