研究分担者 |
藤本 佳範 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90292127)
横田 欽一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10250573)
GALLO Richa ハーバード大学, 医学部, Assistant
小野 稔 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60185650)
|
研究概要 |
我々とDr Richard Galloとの共同研究により以下のことが明らかとなった. 1.内因性抗菌ペプチドPR-39のN末端から15のアミノ酸のオリゴペプチドを用いて,ウサギを免疫し,PR-39に対するポリクローナル抗体を作成した. 2.この抗体を用いてヒト白血球の蛋白を免疫沈降するとPR-39の大きさに相当する約5KDaのところにバンドが見られた.しかし,ブタPR-39のヒトでの類似蛋白および遺伝子はまだ発見できていない. 3.PR-39はproline richな部位にras signalingに重要であるSos蛋白か持つGrb2のSrc homology 3(SH3)domainへの結合motifを5回繰り返し有しており,SH3 domainに結合するという可能性が示唆された.そこでSrc遺伝子のSH3 domainの蛋白をrecombinantで作成し,PR-39のオリゴペプチドを加え.PR-39に対する抗体で免疫沈降するとSH3 domainの蛋白が共沈し.逆にSH3 domainに対する抗体で免疫沈降するとPR-39が共沈してきた.以上のことより,PR-39はSH3 domainに結合すると考えられる. 4.PR-39遺伝子を肝癌細胞株に導入するとSyndecan-1の発現誘導とともに,細胞形態や浸潤能・細胞運動能に変化が起きた.この変化は,Dr Galloにより発表された,PR-39のSH3 domainへの結合能が関与していると考えられる. 5.PR-39遺伝子導入肝癌細胞はPR-39蛋白を培養液中に分泌した. 6.PR-39遺伝子をNIH3T3細胞のras transformantに導入するとやはり細胞形態の変化が認められ,また増殖能が著しく低下した.
|