研究課題/領域番号 |
08044239
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
河谷 正仁 秋田大学, 医学部, 教授 (00177700)
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研究分担者 |
西澤 理 信州大学, 医学部, 教授 (60091815)
JOHN F.B Mor 英リーズ大学, 医学部, 教授
DE Groat Wil 米ピッツバーグ大学, 医学部, 教授
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キーワード | 膀胱 / 感覚線維 / 脊髄 / 神経伝達物質 / CRF / グルタメイト |
研究概要 |
2年間の共同研究を遂行するため、米国ピッツバーグ大学de Groat教授、ならびに英国リ-ズ大学Morrison教授とプロジェクトの焦点について検討した。その結果、de Groat教授とは脊髄における伝達物質の機能解析を中心に集中して研究することを決定した。神経ペプチドの1つCRFは、従来より脊髄での自律神経の下行性伝達物質の1つとして考えられてきたが、猫の仙髄では一次求心性線維の終末に多く存在することが明らかとなった(JANS′96)。CRFを脊髄髄腔内投与すると排尿反射を抑制した。これには最大収縮圧を抑え頻度を変化させないといった特徴があった。したがって抑制性求心性伝達物質の可能性があり、今後詳細に作用ニューロン等について検討する必要性が考えられた。また、脊髄におけるグルタメイトの作用が下行性伝達物質である他に、膀胱痛がおきた時の痛みを伝える感覚性伝達物質である可能性を示す結果を得た。さらに脊髄スライスパッチクランプ法による興奮性特徴の検討を行った。当初、日米双方で独自に検討することを考え実行した。数ヶ月行った後、データーを比較したところ、その内容と興味が微妙に食い違うなどがおこった。結果収集に非常に時間がかかるといった問題も明らかとなり、de Groat研究室にて正常の脊髄ニューロンならびに自律神経中枢の興奮性の特徴について研究を行うこととした。現在、脊髄スライス標本の作製がほぼ満足してできる状況となり、今後はパッチクランプ法による膜の興奮特徴について解析を加える予定である。 英国モリソン教授には来日していただき、共同で膀胱感覚終末の特徴について検討した。神経終末におけるサイトカインの興奮性機構に、神経成長因子がいかに作用し興奮性を高めていくのか検討したが、当初の予定と異なり、それぞれ単独で作用している可能性を示唆された。来年度にはde Groat教室からL.A.Birder博士に来日してもらい、一次感覚細胞で同様のテーマで検討し、結論を出したいと考えている。 また本研究開始後、秋田大学泌尿器科の西澤講師が信州大学教授に転任したため西澤教授は脊髄でのグルタメイトの効果の排尿作用に果たす役割に関する研究や神経成長因子の測定に関する研究に参加していただいた。
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