研究分担者 |
兪 善昌 上海第二医科大学, 教授
ROUSSEAU Den Albert Einstein College of Medicine, 教授
OLSON John S Rice Univesity, 教授
IKEDAーSAITO マサオ Case Western Reserve University, 教授
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
右田 たい子 山口大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90159161)
藤井 浩 山形県テクノポリス財団, 生物ラジカル研究所, 主任研究員 (80228957)
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研究概要 |
ヘムはヘムオキシゲナーゼによりヒドロキシヘム,ベルドヘム,ビリベルジン・鉄錯塩を経てビリベルジンに酸化的に分解される.ヘムだけではなくヒドロキシヘム,ベルドヘムからの反応でもそれぞれ一分子の酸素が利用される.従って,三つの連続したモノオキシゲナーゼ反応が一つの酵素蛋白の上で起こっていることになる. 私共は長年反応機構の解明を行ってきたが、今年度は以下の事実が知られた. 1.酸素の結合や活性化に関与すると思われる第六配位子については1996年に米国のWilksらによってHis132がそうであると報告された.然し,私共は詳細に検討したところHis132はヘム分解活性には関与していない事を確認した. 2.酸化型α-ヒドロキシヘムはヒドロキシル基のプロトンが外れたオキソフロリン構造をとっていた. 3.酸素に曝すとポルフィリン環が酸化され,構造未知の物質に転換した. 4.この物質に一電子を供給すると速やかにベルドヘムに転換した. 5.還元型ヒドロキシヘムは酸化型とは異なりオキソフロリン構造をとらなかった. 6.この還元型に酸素を導入すると速やかにベルドヘムに転換した. 4と6の結果から,ヒドロキシヘムからベルドヘムに至る反応では一当量の還元力と酸素分子が必須であることが知られが,酸素が先か電子が先かについては未だ決着がついていない. 7.ベルドヘム・HO複合体の吸収像は私共が以前688nm物質と称した中間体のそれと同じであり,従ってベルドヘムが中間体であることを確認した. 8.光吸収像やラマン散光は通常のヘム蛋白質とは異なり,むしろ酸化型α-ヒドロキシヘム・HO複合体に類似していた. 9.ベルドヘム・HO複合体は還元型にも関わらずシアンやアザイドを結合できた. ベルドヘムの以上のような特徴はポルフィリン環に存在するプラスチャージに因る処も大きいものと判断された.
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