研究分担者 |
周 虹 ハルビン医科大学(中国), 講師
OLSON John S ライス大学(米国), 教授
SAITO Masao 米国ケースウエターンリザーブ大学, 教授
右田 たい子 山口大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90159161)
藤井 浩 山形県テクノポリス財団, 生物ラジカル研究所, 主任研究員 (80228957)
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研究概要 |
ヘムオキシゲナーゼには二つのイソ酵素がありそれぞれHO-1,HO-2と呼ばれている.本酵素はヘムをヒドロキシヘム,ベルドヘム,ビリベルジン・鉄錯塩を経てベリベルジン,CO,鉄イオンに分解する.ヘムだけではなくヒドロキシヘム,ベルドヘムからの反応でもそれぞれ一分子の酸素が利用される.従って,三つの連続したモノオキシゲナーゼ反応が一つの酵素の上で起こっていることになる.本酵素は単純蛋白質であるが基質であるヘムを結合してできた酵素・基質複合体はヘム蛋白質としての性質を持つ.今年度は以下の事実が知られた. 1.HO-2にヘムが結合する際His45が近位Hisであり,これをAlaに置換するとヘム分解活性は全く消失した.His152は米国の研究者により遠位Hisと報告されたが、私共の実験ではこのHisは酵素活性発現には全く関与していなかった.この結果は私共のHO-1での結果とも矛盾していない.His152をAlaに換えた変異酵素は大腸菌では封入体として発現されていた.恐らく彼らはmisfoldingあるいはunfoldingした酵素が混入した資料を用いたのではないかと思われる.2.本反応ではCOが生成するがこのCOによってヘム分解反応が阻害される様子がない.その理由を検討したところ,ヘム鉄への酸素親和性は異常に高く,CO親和性と匹敵することが知られた.本反応で生ずるCO濃度は反応場では酸素濃度よりも低いので,COは本反応を阻害できないものと思われる.3.ヒドロキシヘムからベルドヘムへの反応では一電子が必須であることを昨年報告した.然し,これには電子は不必要という異論が米国の研究者から出された.それゆえ,再度詳細に検討したがやはり一電子は不可欠であった.私共は化学合成したヒドロキシヘムを用いたのに対し,彼らはヘムそのものから出発しているために,結果の違いが出たものと思われる.
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