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1996 年度 実績報告書

T細胞の分化機構とその異常

研究課題

研究課題/領域番号 08044242
研究機関筑波大学

研究代表者

中内 啓光  筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40175485)

研究分担者 GACHELIN Gab  Pasteur Institute免疫研究部, 室長
SINGER Alfre  NIHImmunology免疫学部門, 部長
SHORTMAN Ken  WEHI Immunology, Laboratory
徳元 康人  筑波大学, 基礎医学系, 助手 (70261170)
中村 幸夫  筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60231479)
高浜 洋介  筑波大学, 基礎医学系, 講師 (20183858)
キーワード造血幹細胞 / リンパ球系幹細胞 / 正の選択 / 胸腺内分化 / 器官培養 / CD4 / CD8 / IL-7受容体
研究概要

初年度であるため、共同研究者と共著の論文を発表することはできなかったが、多くのディスカッションと情報・試料の交換などにより各領域で進歩がみられた。
パスツールのDr.GachelinとはB6.Ly5.2およびB6.Ly5.1マウスとの間で胎仔肝臓中に存在する未分化な細胞の細胞移植実験を行い、IL-7受容体をはじめとする、いくつかの細胞表面抗原分子をマーカーとしてリンパ球系前駆細胞を分離できることを明らかにし、肝臓中に含まれる前駆細胞によるリンパ球分化に関して基礎的な知見を得ることができた。
豪州のShortman博士と我々の研究グループはそれそれ胸腺内で最も未分化と思われる細胞を報告してきたが、これらの細胞におけるCD4とCD8の発現について細部にいくつか一致しない点があった。これらの点について互いに情報を交換し検討した結果、最終的に胸腺中の最も未分化な細胞ではCD4のmRNAレベルでの発現は高いが、細胞表面上では低いこと、CD8に関してはmRNAレベルでも細胞表面レベルでも低レベルの発現があるということで一致した。今後は、この細胞群が骨髄中にも存在するかどうかについてさらに検討する予定である。
Dr.Singerと共同で研究を進めているT細胞の選択に関与する細胞内キナーゼの解析に関しては、TCRα鎖KOマウス由来胸腺の器官培養を、無添加、PMAのみ,Ionomycin(Io)のみ,PMA+Io,の条件下でそれぞれ培養するとPMA+Ioの条件下のみCD4+CD8-(CD4SP)細胞の有意な増加が認められた。同様な実験をMHCclassII遺伝子およびMHCclassII分子遺伝子KOマウス胸腺を用いて行った。その結果、MGC classII分子遺伝子KOマウス胎仔胸腺を用いた器官培養ではPMA+Ioの条件下でCD4SP細胞の出現が観察されたが、おなじ刺激を与えてもMHC classI分子KOマウス由来の胎仔胸腺中ではCD8SP細胞の誘導は観察されなかった。これらの実験結果から、PKCの活性化と細胞内Caの上昇がCD4SP細胞のpositive selectionに必要であることが強く示唆される。一方で、CD8SP細胞のpositive selectionにはこれ以外の信号が必要とされると考えられた。

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] M.Nagata: "Apoptosis during an early stage of nephrogenesis induces renal hypoplasia in bd-2 deficient mice." American Journal of Pathology. Vol.148. 1601-1611 (1996)

  • [文献書誌] S.Tsuda: "IL-7 supports D-J but not V-DJ rearrangement of T cell receptor b gene in fetal liver progenitor cells." J.Immunol.Vol.156. 3233-3242 (1996)

  • [文献書誌] Y.Tokoro: "CD3-induced apoptosis of CD4+CD8+thymocytes in the absence of clonotypic T-cell antigen receptor." Eur.J.Immunol.Vol.26. 1012-1017 (1996)

  • [文献書誌] M.Osawa: "In vivo self-renewal of c-Kit+Sca+Linlo/-hematopoietic stem cells.INGC04:J.Immunol." Vol.156. 3207-3214 (1996)

  • [文献書誌] H.Taniguchi: "Long-term and multi-lineage bone marrow reconstitution in normal untreated recipient." Transplant,Proc.Vol.28. 1042-1044 (1996)

  • [文献書誌] M.Osawa: "Long-term lymphohematopoietic reconstitution by a single CD34 negative hematopoietic stem cell." Science. Vol.273. 242-245 (1996)

  • [文献書誌] Y.Takahama: "Prorbol E ster and Calcium Ionophore can replace TCR signals that induce positive selection of CD4 Tcells." J.Immunol.Vol.157. 1508-1513 (1996)

  • [文献書誌] Y.Kawachi: "Characterization of the mouse CD8 beta chain-encoding gene promoter region." Immunogenetics. Vol.44. 358-365 (1996)

  • [文献書誌] S.Sagara: "B220 expression by T lymphoid progenitor cells in mouse fetal liver." J.Immunol.Vol.158. 666-676 (1996)

  • [文献書誌] Y.Matsuzaki: "Role of bcl-2 in the development of lymphoid cells from the hematopoietic stem cell." Blood. (in press).

  • [文献書誌] 大澤匡毅: "Annual Review「免疫」1997" 中外医学社, 12 (1996)

  • [文献書誌] 高浜洋介: "「<新医科学大系>第8巻 免疫応答-生体の防御機構II」" 中山書店, 9 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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