研究課題/領域番号 |
08044243
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂内 四郎 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (70019579)
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研究分担者 |
ジョバンニ E.マン ロンドン大学, キングスカレッジ, 準教授
佐藤 英世 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60235380)
石井 哲郎 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (20111370)
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キーワード | 膵臓 / 膵炎 / ストレスタンパク質 / 酸化ストレス / グルタチオン / ヘムオキシゲナーゼ |
研究概要 |
酸化ストレスで誘導されるストレスタンパク質は、酸化ストレスから細胞を守る働きがあると推定されている。本研究では、膵臓の生理と病理に酸化ストレスがいかに係わるかを明らかにする目的で、酸化ストレス誘導タンパク質として知られているヘムオキシゲナーゼ(HO)と、我々が発見したストレスタンパク質であるMSP23に注目して実験を行い、以下のような知見を得た。 1.コレシストキニン類似ペプチドであるセルレイン(caerulein)をラットに過剰投与することにより実験的に急性膵炎を引き起こし、HOの発現を調べたところ、急性膵炎に伴う浮腫が観察されるセルレイン投与後1時間目ではHOの合成は見られなかった。しかし、浮腫が治癒する過程で時間依存的に誘導型HO-1が誘導されることが明らかとなった。構成的に発現するHO-2やMSP23は、セルレイン処理の影響はなかった。 2.膵線房細胞(AR42J)およびβ細胞(βTC3)由来の細胞株では、種々の酸化ストレスに対し、濃度依存的、時間依存的にHO-1が誘導されることが示された。MSP23の発現は、酸化ストレス負荷で変化せず一定だった。 3.AR42J,βTC3細胞において、酸化ストレスに対する感受性が異なっていた。そこで、細胞内グルタチオン量を調べたところ、βTC3に比べてAR42Jの方が著しく高かった。これは、グルタチオン合成の前駆アミノ酸であるシスチンの細胞内への取り込み活性の違いを反映していることが示された。 以上のことから急性膵炎において酸化ストレスで誘導されるストレスタンパク質がその病態変化に重要な役割を果たすことが示唆された。今後は、糖尿病におけるストレスタンパク質の発現を調べ、その病態との関わりを明らかにしていく予定である。
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