研究課題/領域番号 |
08044253
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北島 健 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80192558)
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研究分担者 |
ROTH Jurgen チューリヒ大学, 病理部門, 教授
TROY Frederi カリフォルニア大学, 医学部, 教授
LENNARZ Will ニューヨーク州立大学, 生化学細胞生物学部門, 教授
井上 貞子 台湾中央研究院, 生物化学研究所, 教授
松田 幹 名古屋大学, 農学部, 教授 (20144131)
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キーワード | ポリシアル酸 / KDN / 硫酸化糖鎖 / 細胞接着 / 受精 / KDN-切断酵素 / シアル酸の生合成 / シアル酸の機能 |
研究概要 |
本研究は、我々が動物細胞表層に見出した酸性複合糖質糖鎖(デアミノノイラミン酸(KDN)、ポリシアル酸、硫酸化シアル酸)の細胞認識・接着における役割解明を目的とする。本年度は、以下の研究成果を得た。 1.動物の卵-精子接着における酸性糖鎖の構造と機能:(1)ウニ卵細胞膜の精子受容体に受精阻害活性をもつ硫酸化オリゴ・ポリシアル酸(Neu5Gc)鎖が結合することを明らかにした。また、ウニ精子表面にテトラシアル酸(Neu5Ac)までのオリゴマー構造がGlc-Cerに結合していることを明らかにし、これら糖脂質を外から加えると、受精のキネティックスを遅延することをつきとめた;(2)ニワトリ卵に哺乳動物の卵膜局在精子受容体糖タンパク質であるZP3およびZP-1,2のホモログが存在することをつきとめ、これらZP-1,2,3ホモログを比較的大量に純化する方法を確立した。今後、精子先体反応誘起活性、受精阻害活性を調査する予定である。 2.動物細胞表面ポリシアル酸-およびKDN-複合糖質の発現とその調節機構:(1)KDN残基に特異的な加水分解酵素KDNaseの精製法を確立し、KDN残基特異的抗体と組み合わせて、哺乳動物の細胞、組織の微量KDN残基の検出を可能にした。また、KDN複合糖質の存在を、蛍光検出法を利用した化学的同定法、およびそれらを実際に単離、同定するによって確実に証明した;(2)ポリあるいはモノシアル酸を認識せずオリゴシアル酸に特異的なモノクローナル抗体の開発に成功し、細胞表面の糖タンパク質に結合したオリゴシアル酸構造の普遍的存在をはじめて明らかにした;(3)KDN残基の形成機構に関して、まず単糖KDNを合成する反応を触媒する酵素群を同定し、これらの酵素群は、従来のシアル酸単糖の合成にも関与する可能性が示唆された。現在、KDNのアイデンティティーを決定する因子を広く探るために、KDN高発現細胞の誘導、発現クローニングなどのアプローチもを計画している。
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