研究概要 |
活性型ビタミンDおよびその20-エピアナログを用いて、ビタミンDの側鎖を分子力学法を用いてコンフォメーション解析した。その結果ビタミンDの側鎖の到達可能領域が、A、G、EA、EGの4つに分類できることを明らかにした。次に、側鎖の動きがこれら4つの領域のいずれか1つに制御されるアナログを同様に分子力学解析に基づいて設計した。22-メチル-1,25-ジヒドロキシビタミンD3の20および22位の4種のジアステレオマ-、(20R,22R)-22-methyl-1,25-(OH)2D3(1),(20R,22S)-22-methyl-1,25-(OH)2D3(2),(20S,22R)-22-methyl-1,25-(OH)2D3(3),(20S,22S)-22-methyl-1,25-(OH)2D3(4),である。我々はこれら4種の立体配座制御アナログを、ステロイド側鎖エノン体へのアルキル銅試薬の面選択的共役付加反応を鍵段階として立体選択的に合成することに成功した。これら4種のアナログのビタミンD受容体(VDR)親和性がアメリカのDeLucaのグループによって検討された。化合物1、2、3および4のブタ小腸受容体への結合性は活性型d3の活性を1とすると、各々、1/60、1/3、20、1/100であった。以上の結果から、ビタミンDが受容体に結合する際、側鎖が空間的にしめる領域が示された。すなわちAおよびEA領域が重要であることが明らかになった。特筆すべきは、20S、22R体(3)が天然の1,25-ジヒドロキシビタミンD3の約20倍の受容体結合活性を示したことである。その他の生理活性も検討した。その結果、受容体結合性が天然活性型D2の20倍高い、20S、22R体(3)は、前骨髄性白血病細胞分化誘導能も200倍と高かく、in vivoのカルシウム代謝調節作用も倍近かった。メチル基の他、エチル、ブチル置換アナログについても同様に合成と生理活性を検討した。
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