研究課題
国際学術研究
本研究においては、マウスオステオポンチン遺伝子のノックアウトマウスの作成を行い、その機能の解析を以下の如く遂行した。マウスオステオポンチンについては、その主要なエクソンを含むDNA領域を対象としてホモロガスリコンビネーションを行った。そのホモロガスリコンビネーションによって得られたES細胞をマウスの胚に導入し、この胚から得られたマウスを更に交配することにより、オステオポンチン遺伝子の発現しないホモのマイナス/マイナスの動物を作成した。当初オステオポンチンの遺伝子を欠損した細胞は十分な生殖細胞への遺伝子のトランスミッションが得られなかったが、その後の実験の追加により、生殖細胞へ至るものが得られ、これにより、オステオポンチン遺伝子を2つの遺伝子座共に持たないマウスが作成された。このマウスの脛骨ならびに大腿骨など長管骨より骨髄細胞を採取し、これを頭蓋より採取した骨芽細胞と共に、ビタミンD3の存在下に共存培養させ、これによって7日の後に形成される破骨細胞を酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)を指標として、破骨細胞と同定して、この形成効率を検討した。また、脾臓より未分化細胞を得て、同じくノックアウト動物より得られた骨芽細胞と共に共存培養をし、TRAPを指標とした破骨細胞様細胞の形成能を検討した。これらの共存培養の結果、ノックアウト動物より得られた脾臓細胞や骨髄細胞を用いた場合には、破骨細胞の形成効率が亢進していることが明らかとなった。一方、骨芽細胞を頭蓋冠より分離し、この細胞をαMEM、10%血清ならびにβグリセロフォスフェイトとアスコルビン酸の存在下で培養したた結果、培養の際に起きる細胞集塊、およびその集塊の中に形成される石灰化を伴ったin vitroの骨様結節の形成効率においては、ノックアウト動物は野生型動物とほぼ同等の形成効率を示した。以上の結果、骨粗鬆症の主因となる破骨細胞の形成能にオステオポンチンが関わることが初めて明らかとなった。
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