研究課題/領域番号 |
08044269
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中野 赳 三重大学, 医学部, 教授 (60111879)
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研究分担者 |
HARTSHORNE D アリゾナ大学, 農学部, 教授
伊藤 正明 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (00223181)
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キーワード | 平滑筋 / ミオシンホスファターゼ / ミオシンリン酸化 / Rhoキナーゼ / ミオシン結合サブユニット |
研究概要 |
血管をはじめとする平滑筋の収縮弛緩調節に関与する新しい分子[ミオシンホスファターゼ」の活性調節機構ならびにその機能を中心に検討した。 (1)ミオシンホスファターゼ(MP)の活性調節機構に関する生化学的検討 精製MP中に混在し、MPの130kD調節サブユニット(MBS)を燐酸化しMP活性を阻害させるプロテインキナーゼの同定を試みた。精製MP中に少くとも2種類のキナーゼ、カゼインキナーゼ2(CK2)とRhoキナーゼ(RhoK)が混在していることが判明した。これらキナーゼは共にMBSをリン酸化させたが、RhoKによるMBSのリン酸化のみがホスファターゼ活性を阻害したため、RhoKがミオシンホスファターゼ活性を制御するキナーゼと考えられた。 (2)ミオシンホスファターゼ各サブユニットのドメイン構造解析 MBSのドメイン構造を、MBSの種々のフラグメントをリコンビナントタンパクとして作成し検討した。N末端側より295番目までのアンキリンリピート構造に触媒サブユニットならびにミオシンが結合し、ミオシンホスファターゼ活性発現に重要なドメインが存在すると考えられた。MBSのC端1/3領域には、もう一つの調節サブユニットM20、低分子量G蛋白質Rhoや酸性リン脂質が結合し、ミオシンホスファターゼ活性調節機構に関与しているドメインと考えられた。 (3)ミオシンホスファターゼのアイソザイムファミリーの検討 ヒトのMBSのアミノ酸一次構造解析を行った。ヒトMBSは1033個のアミノ酸残基からなる分子量115kDaの蛋白質で、ラットおよびニワトリのMBSとそれぞれ89%および83%の相同性を有し、MBSは種差を越えてそのアミノ酸一次構造が高度に保存されていることが明らかとなった。そのN端側にはアンキリンリピート構造が、C端側にはロイシンジッパー構造が認められ、ヒトにおいてもミオシンホスファターゼ活性の発現ならびにその活性調節に重要な構造を有していた。
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