研究課題/領域番号 |
08044272
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
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研究分担者 |
INAGAMI Tada バンダービルト大学, 医学部, 教授
DZAU VictorJ ハーバード大学, 医学部, 教授
向山 政志 京都大学, 医学研究科, 助手 (40270558)
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
田中 一成 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80179738)
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研究期間 (年度) |
1996
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キーワード | ナトリウム利尿ペプチド / エンドセリン / アンジオテンシン受容体 / 心臓血管ホルモン / 分子生物学 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 遺伝子導入 |
研究概要 |
高血圧や心筋梗塞などの心臓血管疾患の病態に、心臓血管ホルモンと総称される生理活性物質やその受容体の異常の関与が示されつつある。本研究ではこれをさらに解明するため、特にナトリウム利尿ペプチド(NP)系、エンドセリン(ET)系、レニン-アンジオテンシン系(RAS)について、これらの遺伝子変異動物を含め、分子生物学的に解析することを目的とした。 NP系に関しては、内皮細胞でのCNP遺伝子発現と分泌が血管平滑筋細胞共存培養下で主にTGF-βの活性化を介し著しく亢進すること、逆にVEGFやインスリンで抑制されることを示した。さらに、アデノウイルスを用いた血管平滑筋細胞へのCNP遺伝子導入によりG1 arrestを誘導し、またCNP刺激がアンジオテンシンII(AII)と拮抗して増殖抑制的homeobox因子であるGaxを誘導することを明らかにし、これら種々の相互作用で血管リモデリングが制御される可能性を示した。一方、BNP過剰発現トランスジェニックマウスの生理機能を検討し、有意の低血圧と心肥大抑制効果からBNPの心保護作用を示した。また、BNPとANPの遺伝子がマウスとヒトで同一染色体上に隣接して存在することを証明した。 ET系では、ヒトET_A受容体についてalternative splicingの検討を行い、exon 4およびexon 3と4の脱落により多様なmRNAが生じることを明らかにした。 RASでは、作用が未だ不明なAIIタイプ2(AT_2)受容体の検討を行い、腎メサンギウム細胞で接触抑制に伴って著しく発現が亢進し、AT_1受容体に拮抗して増殖抑制的に働くこと、遺伝性高血圧ラット腎臓で発現低下を来すことより高血圧発症へ関与する可能性を示した。またヒト子宮筋では妊娠に伴って著しく発現低下し、妊娠子宮筋肥大に関与する可能性が示された。さらにマウスレニン遺伝子(Ren-2)導入トランスジェニックラット心臓でのNP発現を検討し、負荷に対して増加反応が減弱しており、この高血圧の病態にNP系の調節異常が関与する可能性を示した。
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