研究課題
国際学術研究
胚性幹細胞から血液細胞への分化誘導法(OP9法)を用いて、マスト細胞の機能ならびに分化機構の解析を行うために以下の研究を行った。共同研究者であるハーバード大学のスティーブ・ギャリ博士の研究グループは、マスト細胞が活性化されると発現するマスト細胞の機能に重要な役割をはたしていると推定される遺伝子の遺伝子ターゲティングを行うために、遺伝子ターゲティングベクターを作製し、遺伝子破壊をおこなったES細胞の作成を行っている。これらの細胞株が樹立された時点において、OP9による分化誘導を行い、得られたマスト細胞の機能解析を行う。また、この遺伝子を強制発現する実験を試みたが、OP9法による分化誘導過程において遺伝子の発現が低下することが明かとなった。この問題を克服するために、仲野・高橋が、OP9法による分化誘導においても高発現するプロモーターの検索を行い、いくつかのプロモーターが利用可能であるという結果を得た。トーマス・グラフ博士と我々の研究室では、c-myb遺伝子産物のマスト細胞の分化におよぼす影響を解析するために種々の発現プラスミドの構築を行った。c-mybを構成的に発現するプラスミド、また、c-mybの機能を任意に抑制することのできるプラスミドをすでに入手している。これらの発現プラスミドをES細胞に導入し、OP9法によりマスト細胞への分化誘導を行うことにより、c-mybのgain of functionとloss of functionがマスト細胞の文化にどのような影響をおよぼすかを検討する予定であったが、使用しうるプロモーターに問題があったため、前述のように適当なプロモーターの探索を行った。また、マスト細胞の分化および機能発現に重要な役割を持つと考えられている転写因子であるc-mybとGATA-1は転写の仲介因子を介して相互作用することを明らかにした。
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