研究課題/領域番号 |
08044278
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
山本 正之 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30158307)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
猪股 裕紀洋 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50193628)
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研究期間 (年度) |
1996
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キーワード | 免疫寛容誘導 / マイクロキメリズム / ドナー特異的遺伝子 / MHC-class I / NK細胞 / KIR |
研究概要 |
我々が行なってきた生体肝移植において、免疫抑制剤(FK506)は少量の投与で有効で、ステロイドの投与は殆どの症例が移植6ヶ月で打ち切られており、また、術後4年の短期間ながら、4例が免疫抑制剤を投与されていないことから、生体肝移植において免疫寛容が誘導されやすいとの仮説をたて本研究を計画、ハノーファー医科大学の脳死者よりの肝移植症例との対比として共同研究を開始した。 1)マイクロキメリズムの形成に関する研究 生体肝移植症例においては、未梢血、皮膚生検材料、可能なものはリンパ節においてマイクロキメリズムをsensitivity99.5%、specificity98%と高いHLDDRtypingをnested-PCR法を用いて検討した結果、(1)術後早期にシグナルは一旦消失し、その後漸次再出現する現象(2)長期観察により脳死肝移植症例ではシグナル出現率70%に対し、生体肝移植症例では100%出現する事が明かになった。しかし、これらの現象を脳死肝移植,生体肝移植のいずれにおいても臨床的な拒絶反応との相関を得ることはできず、なお他の因子も考慮のうえ寛容に関する研究がすすめられるべきことが判明した。 2)寛容におけるMHV-class I 抗原とNK細胞に関する研究 本研究も同一検体でP58(ヒト)、Kp43/CD94(ヒト)の測定からウイルス感染した細胞とNK細胞機能との関係を検べるべく準備したが、独側の理解不十分な為に検体の保存、輸送の手違いの為、当初の目的を達し得なかった。しかし、湊教授の研究室においてはMHC-class I 分子の新しいメカニズムの一役を担うkiller inhibitory receptor(KIR)の関与が重要であるらしいところまで研究が進んでおり、臨床的意義づけを検討中である。 上記の結果をふまえ、特異的遺伝子の存在、NK細胞機能の変化を把握し、レシピエントの肝臓及び移植された肝グラフトの病理学的検索、特に分子生物学的解析によるデータとの比較により原疾患の免疫寛容誘導に及ぼす影響に関する研究を新しい課題として共同研究を展開中である。
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