研究分担者 |
FOX Barbara ダートマス大学, 医学部, 上級研究助手
ARMAH George ガーナ大学, 野口記念医学研究所, 主任研究員
HYDE John マンチェスター工科大学, 上級講師
KRUNGKRAI Je チュラロンコン大学, 医学部, 助教授
BZIK David J ダートマス大学, 医学部, 助教授
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研究概要 |
SERA抗原(113kD)は赤血球期マラリアのトロフォゾイト、シャイゾント期に大量に発現される蛋白質であり、感染赤血球が壊裂する直前に、47kD、50kD、18kDの三つの断片となる。我々は47kDのドメイン(SE47'白)のレコンビナント蛋白質が原虫増殖に対して阻害的に働く抗血清を誘導することを明らかとしてきたが、その物質の実体と作用機構を明らかにするため、抗SE47'抗血清よりSE47'蛋白質特異的なIgG分子をアフィニティ精製し、マラリア原虫の増殖阻害機構について詳細な解析を行なった。 アフィニティ精製したSE47'蛋白質特異的なIgG分子を用いて、培養マラリア原虫の増殖阻害効果を測定した結果、極めて強い増殖阻害が観察された。さらに,シゾントを未感染赤血球から分離し、そこにSE47'蛋白質特異的なIgG分子を入れたところ、抗SE47'IgGはシゾントおよびメロゾイトを強力にagglutination(会合)させた。IFAによりSERAとSE47'蛋白質特異的なIgG分子の抗原-抗体複合体の局在を観察したところ、これら会合した細胞の表面に存在することが明かとなった。一方、培養マラリア原虫にアフィニティ精製したSE47'蛋白質特異的なIgG分子と補体を加えたところ、SE47'蛋白質特異的なIgG分子のみの場合に比べて、より強力な阻害効果が観察された。マウス抗SE47'抗血清よりIgG_1と補体結合性のIgG_<2a>,IgG_<2b>,,IgG_3,を分離精製し、マラリア原虫増殖阻害を調べたところ、補体の効果はIgG_<2a>,IgG_<2b>,,IgG_3分画にのみ有効であった。また、SE47'蛋白質特異的なIgG分子と補体シゾントに加え、ギムザ染色により形態を観察したところ、シゾント内部の核が溶解した状態を呈していた。これらの観察から、成熟したシゾントは補体の古典的経路によって殺滅されることが示された。
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