研究課題/領域番号 |
08044291
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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研究分担者 |
LOAKES David 英国医学研究機構, 分子生物学研究部, 研究員
BROWN Daniel 英国医学研究機構, 分子生物学研究部, 特別研究職
島本 整 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90187443)
根岸 和雄 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70116490)
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キーワード | P-ヌクレオチド / 突然変異 / トランジション / N^4-アミノシチジン / ニッケルイオン / チミジンキナーゼ / DNAポリメラーゼ / 大腸菌 |
研究概要 |
我々は新たな変異原性ヌクレオシド、P-ヌクレオシドを見出し、大腸菌におけるその変異メカニズムを明らかにした。BrownらによりN^4-methoxydeoxycytidineのアナログとして合成されたP-ヌクレオシドの変異原性テストを行ったところ、大腸菌やサルモネラ菌に対して高い変異原性を示した。そこで、その機構に興味を持ち、研究を開始し、その変異メカニズムをほぼ明らかにすることができた。すなわち、P-ヌクレオシドは大腸菌に取り込まれると、チミジンキナーゼによりリン酸化されモノリン酸体となって、細胞内のヌクレオチド代謝系に入り、DNAに取り込まれる。次に複製エラーを起こすことにより、変異を引き起こす。このとき、培地に加えてP-ヌクレオシドの濃度に比例してDNAへの取り込みが上昇する。また、大腸菌DNA polymerase I large fragmentを用いて、P-ヌクレオシドのドリリン酸体の取り込みを調べたところ、P-ヌクレオシドはアデニンの相手としてもグアニンの相手としても取り込まれることがわかった。さらに、ニッケルイオンによる変異ならびに、DNAポリメラーゼによる取り込みの修飾を解析した。 また、我々は、従来より研究を行っていたN^4-アミノシチジンの変異原性について、ニッケルイオンによる増強メカニズムを検討した。ニッケルイオンの共存により、最高10倍近くにまで変異頻度が上昇する。N^4-アミノシチジンとニッケルイオンを混合すると、N^4-アミノシチジンの紫外吸収が変化したことから、複合体の形成が示唆された。この複合体形成は可逆的で、N^4-アミノシチジン2分子とニッケルイオン1分子が結合するらしい。この複合体形成の結果、N^4-アミノシチジンの分解の阻害と複製エラーの促進が起こり、変異が増強されるのではないかと考え、現在実験を進めている。
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