研究課題/領域番号 |
08044306
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中山 仁 熊本大学, 薬学部, 教授 (70088863)
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研究分担者 |
GLOSSMANN Ha インスブルック大学, 分子薬理学研究所, 主任教授
DALY John W. NIH, 生物有機化学研究部, 部長
SCHWARTZ Arn シンシナチ大学, 医学部, 主任教授
國安 明彦 熊本大学, 薬学部, 教務員 (90241348)
國枝 武久 熊本大学, 薬学部, 教授 (80012649)
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キーワード | Ca拮抗薬 / 光アフィニティラベリング / 薬物結合部位 / 心筋L型Caチャンネル / 精密合成化学 |
研究概要 |
臨床的に汎用されているCa拮抗薬のイオンチャンネル上での結合部位を分子レベルで明らかにした上で、これの基づいたドラッグデザインと合成を行い、その基礎的および臨床薬理学的検討を綿密に行うことは、より有効な循環器疾患治療薬の創製を可能ならしめる途である。本研究はCa拮抗薬の心筋Caチャンネル上での結合部位を、骨格筋チャンネルと対比しつつ明らかにし、得られた結果を基に国際的な共同研究により、心筋に選択性の高い拮抗薬の創製を目的とする。本年度の研究で得られた知見を以下に要約する。 1.代表的なCa拮抗薬である1,4-ジヒドロピリジン型薬物の心筋Caチャンネル上での結合部位は、骨格筋のチャンネルと一次構造上で同等部位であり、数個のアミノ酸残基の違いが薬物結合親和性を制御していることが強く示唆された。 2.代表的なCa拮抗薬であるジルチアゼム型薬物1の、骨格筋Caチャンネル上での結合部位を、立体的に小さな反応基を用いた光アフィニティラベル法で明らかにした。同定した部位はリピートIVの2箇所であり、欧米のグループが最近発表したリピートIIIとIVの2箇所であるとの結論は、立体的に嵩高い反応基を用いたための誤った結果が含まれることを指摘した。 3.平面化学構造上ではジルチアゼム型薬物に類似している点をもつが、従来のCa拮抗薬にはない薬理作用をもつ新規化合物2の光ラベル用試薬を合成し、これを用いて骨格筋Caチャンネル上での結合部位を明らかにした。それは従来のCa拮抗薬結合部位と近接した部位ではあるが、明らかに異なっていた。 X線結晶解析で得られた1と2の立体構造は、重なり部分がほとんどないことが判明した。この結果に基づき、2をリ-ド化合物とした新たな化合物群のデザインと合成が可能となった。
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