研究課題
国際学術研究
肝臓はheme oxygenase活性が最も高い臓器の一つであることから、COがheme酵素である可溶性guanylate cyclaseを活性化し肝微小循環の血流調節を担っているとの仮説の下に実験を進め、実際にsteady-stateにおける内因性弛緩因子として恒常的に血管内空間へ0.7nmol/min/g liver(灌流液中で約250nM)程度排泄されていること、heme oxygenase阻害剤投与により血管抵抗が30%程度上昇し、COや細胞膜透過性のcGMPアナログのsupplementによりこれが抑制されることを明らかにした。さらにこの血管抵抗の上昇は門脈や肝静脈のような血管平滑筋を有する大血管ではなく、類洞血管の不連続性収縮によるものであることをラット分離潅流肝を用いたdigital microfluorographyにより示し、収縮部位が類洞周囲を取り巻く血管周皮細胞で高いquanylate cyclase活性を持つ伊東細胞の局在に一致することを明らかにした。さらに近年申請者は内因性COを抑制した際に、類洞血管抵抗の上昇と共に胆汁排泄量が15-20%程度上昇すること、外因性に投与した過剰量のCOが胆汁酸依存性の胆汁うっ滞を招来することを見いだした。COによる細胞機能の調節はcGMP非依存性になされている可能性もある。このようなcGMP非依存性のCOによるsignal transductionのメカニズムとなりうるものとして、K_+ channel (outward rectifier)が挙げられる。このチャネルのfamilyには膜上の未知のヘム蛋白とcouplingして酸素、あるいはNOやCOを感知して開口確率を変化させるものがあることが頸動脈小体や角膜上皮細胞で報告されている。我々はそのようなK_+ channelのcandidateを肝臓の類洞血管抵抗の調節機構を担う伊東細胞でパッチクランプ法でcharacterizationを行い、その存在を確認した現在COに対するこのchannelの感受性の検討を進めている。
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