研究課題/領域番号 |
08044329
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
|
研究分担者 |
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (50148699)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
菅原 基晃 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60010914)
菅 弘之 岡山大学, 医学部, 教授 (90014117)
|
キーワード | 冠循環 / 心筋内微小血管 / 力学的ストレス / 組織エナ-ジェティクス / 高分解能微小循環計測 / ニードル型生体顕微鏡 / 分子生体工学 |
研究概要 |
本年度は、初年度に進められたアムステルダムグループと川崎グループの技術移転協力で可能になったニードル型生体顕微鏡と冠潅流制御装置との併用によって世界で初めて成功した心内膜側微小循環の冠動脈圧・血流制御下での観測と解析をさらに進めた。具体的には、実験動物を対象に冠動脈の血行動態変化に対する細動脈血管径調節の応答を心筋内で最も虚血に陥りやすい心内膜側と心外膜側とで比較検討した結果、心内膜側の細動脈では心外膜側に比較して強い拍動的メカニカルストレスが生じるが、これに直接応答して速い時間経過(約10秒)で血管径が変化することが明らかになった。本研究の目標である、冠血管に作用する力学的ストレス・代謝的刺激が伝達・処理されて血流が調節される機構についてミクロからマクロに至るまでの階層的システムレベルで理解するためには、心筋内循環調節系の時間応答の特徴だけでなく、空間的な特徴についても知見を得る必要があるが、これについては微小循環レベルでの血流の不均一性が従来の知見よりも高度であることが明らかになり、これに対応して、トレーサーキネティクス、フラクタル解析をもとに解析が進められ、シアトルグループとの協力で血流調節因子に注目した心筋内血流のモデルが提案された。また、心筋エナ-ジェテイクスの面からは、心筋細胞内分子機構にリンクした心収縮性の新たな指標が提案され、今後、この指標を利用しつつin vivoの心血管系における冠循環と心筋エナ-ジェテイクスの相互関連を包括的に理解するためには心拍出の慣性力が心筋機能に及ぼす影響も考慮することの重要性が示された。
|