研究課題/領域番号 |
08045008
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
竹谷 和之 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80163400)
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研究分担者 |
オセス アンドレス・オル ホセ, オルテガ・イ・ガセット研究財団客員研究員(デウスト大学), 教授
武内 旬子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70236420)
東谷 頴人 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (70073343)
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キーワード | バスク民族 / エスニック・スポーツ / 近代化 / キリスト教 / 守護聖人祭 / アニマル・スポーツ / 文化変容 |
研究概要 |
平成10年度はおもに海岸部におけるバスク民族スポーツの調査・研究であり、スペイン・ギプスコア県及びフランス・ラブール地方の守護聖人祭、その周辺の村落や地域に伝承されているエスニック・スポーツを調査・研究した。海岸部でのスポーツの特徴は、動物を使用した儀礼的なスポーツが多く見られることである。とくに「ガチョウ」「アヒル」といった名称で知られているスポーツは、水、船、落下及び耐久力などが構成要素であり、参加者の勇気と「残酷性」をあわせもった内容となっている。この残酷性を取り除く方法として、都市近郊の村落ではこれらの動物の代わりにボールが使用される。ここでは動物使用の本来の意味は消失し、単なるスポーツへと変容しているのである。伝統を重んじるとされるバスク人の価値基準が変化していることもここで確認することができる。また、海岸部から少し内陸に入ると、これら動物を使用した民族スポーツが今度は馬上の村人によって行われるという形式の変化も存在する。ここにおいても儀礼的スポーツの精神的側面がインフォーマントによっては確認できなかったことや、資料によっても同様の結果であったことにより、キリスト教による地域信仰への影響が多大であると考えられる。 研究分担者の東谷はスペイン文学におけるパスタの研究、パスタ文学にみるスポーツを研究した。バスクでの文学が欠如している理由として、口承による伝達、バスク語への弾圧などで発展してこなかったことなどをあげている。ペロタを題材とした文学においても、その手法は粗削りで良質の内容となっていないなど今後の課題は多いが期待はできるとしている。武内はフランス文学におけるバスクについて、多角的視点からアプローチしている。文学に必ずといっていいほど登場するパスクスポーツ(とくにペロタ)についても、バスクを表現する一手法に過ぎず、フランス人からのバスク観を提示しているとした。アンドレス・オルティス・オセスは、バスク神話に貫通する母性原理がペロタ球技に見られるとし、スペイン的な父性原理と対比した。
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