研究課題
インドネシアにおける漁業の近代化と水産開発は当該国の政府によって急速に進められようとしている。日系の水産関係企業も多く進出して当該国の水産開発の促進に重要な役割を果している。バリー島の南端にはマグロ漁業の根拠地があり、近隣諸国からの80〜90トンのマグロ船の水揚げ港になっていう。おもな漁場はバリー島南部からジャワ島南部の海域で、航海日数は約1か月間であるがその間に刺し身用のマグロは鮮度が目玉なので度々帰港しては陸揚げされては日本へ空輸されている。鮮度の落ちたものは罐詰加工用にまわされる。ジャヤカルタに事務所を持つ日系企業が多いが、イリヤンジャヤのソロンを根拠地としてエビトロールを営んでいる。日本からのマグロ中古船を使用するものが多い。しかし現地では修理の部品の調達が困難であったり、技術者も集めることが難しいことなどから、養殖業に切り換える企業が増大している。おもにジャワ島の東部やカリマンタンに養殖場を持ち、対日輸出用のブラックタイガ-などを養殖している。これには多くの現地人が雇われ、人件費が安いことで何とか経営が成り立っている。漁港などのインフラ整備が日本に比べるとかなり遅れていたが、最近では地方拠点都市にも漁港が整備されてきた。漁業関連産業が成立し易い基礎が整ってきたが、ただ沿岸漁業は地域によってかなり相違があり、スマトラ島北端のバンダアチェ周辺の漁村では、伝統的な沿岸漁業に関する自主規制が働いており、資源管理上は大いに役立っている。政府もこうしたインフォーマルな漁業規制をしだいに評価するようになった。日本製の船外機をとり付けただけの漁船が多い地域もある。漁獲量は増大したが、陸揚げする漁港施設の整備が立ち遅れ、岸壁や漁船の係留場などは殆ど整備されていない漁港も見られる。一般に製氷工場はかなり見られるようになったが、加工施設の整備が今後の大きな課題になっている。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)