研究分担者 |
ドミトリ ブラホツィホト テクニオン, イスラエル工業大学・理学部, 助教授
イイザック アペログ テクニオン, イスラエル工業大学・理学部, 教授
加部 義夫 筑波大学, 化学系, 講師 (40214506)
菊池 修 筑波大学, 化学系, 教授 (30015771)
YITZHAK Apeloig Technion-Israel Institute of Technology, Professor
DMITRY Bravo-Zhivotovski Technion-Israel Institute of Technology, Assosiate Professor
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研究概要 |
ベンゼンには幾つかの原子価異性体が存在しベンゼンは芳香族性の寄与により最安定であり、ビスシクロプロペニルは最も不安定な原子価異性体である。一方、ケイ素を含む化合物では芳香族安定化がどのに寄与するのか。本研究は、その骨格にケイ素を導入したシラビスシクロプロペニルを合成しその原子化異性反応による、シラベンゼンを検討した。ジシラアントラセンについても同様に報告する。ビスシクロプロペニルの骨格の二原子をケイ素に置き換えたジシラベンゼン原子価異性体の一つであるジシラビスシクロプロペニルは、ビスシラシロプロペンより合成し、熱、銀イオンにより2,5-ジシラベンズバレン、光により1,6-ジシラベンズバレンに異性化する。ベンゼン、デュワ-ベンゼン、ベンズバレンの三つの異性体の理論的計算では、デュワ-ベンゼンとベンズバレンの間のエネルギー差は小さく、置換基により異なる異性体が予測される。そのジメチル体の熱異性化反応は、ジシラベンズバレンとジシラデュワ-ベンゼンが得られ、これはケイ素を骨格にしたデュワ-ベンゼンとして最初である。これはジシラビスシクロプロペニルの熱異性化が、ジシラデュワ-ベンゼンを生成した後、立体反発の少ないジシラベンズバレンへの異性化を予測する。ジシラアントラセンは、そのジアニオンの合成とその酸化を検討した。ジヒドロジシラアントラセンと金属リチウムの反応より、ダイマーを高収率で生成する。ヒドロシラン類から直接ケイ素-ケイ素結合の形成が起きる初めての例である。このダイマーと金属試薬よりジアニオンを生成し、種々の対応するケイ素環状化合物を合成する。電子受容体との酸化反応によりダイマーが得られ、ジシラアントラセンの中間体が予測された。以上より、ベンゼンの骨格にケイ素を導入した場合には異性化およびシリルアニオンの酸化によりシラベンゼンの生成の可能性を有し、芳香族性の減少を示した。
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