タンパク質の構造安定化機構への温度・圧力効果の研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08045025
• 研究機関: 立命館大学
• 研究代表者: 澤村 精治 立命館大学, 理工学部, 助教授 (10167439)
• 研究分担者: MAUK Grant ブリティッシュコロンビア大学, 医学部, Professor ; KOGA Yoshika ブリティッシュコロンビア大学, 理学部, Senior Ins ; 加藤 稔 立命館大学, 理工学部, 講師 (00241258) ; 谷口 吉弘 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066702)
• キーワード: タンパク質 / 高圧力 / リゾチーム

研究概要

生命現象を理解する上で極めて重要な現代的課題であるタンパク質の安定化機構を解明するために医学、物理化学、溶液化学等、様々な立場の研究者が共通の課題に様々な角度から取り組んだ。試料タンパク質としてはリゾチームを取り上げた。
シンクロトロン放射光を用いたリゾチーム水溶液のX線小角散乱から、回転分子半径が300MPaの加圧で1485±22pmから39pm減少することを明らかにした。リゾチームの回転分子半径の加圧による減少はX線結晶解析実験で得られている結果に比べてかなり小さい。これがなにを意味するのか今後検討する必要がある。そのためにはこれと比較するためのリゾチームの高圧部分モル体積の測定が必要でありそれを得るために、水溶液のリゾチームの圧縮歪を測定し解析中である。またリゾチーム水溶液へのアルコール添加効果を部分モル熱の立場から調べ、アルコール-水組成の変化とともにリゾチーム-アルコールの相互作用がエンタルピー的に変わることが明らかになった。リゾチーム-アルコール相互作用のエンタルピーが変わるアルコール濃度は、リゾチームのアルコール変性濃度に近く、このエンタルピーと変性を対比させることで変性のメカニズムを解明する手がかりが得られた。またリゾチームだけでなく、他のタンパク質での研究展開を図るための試料調製の検討を行いHemeタンパク質が最も実行しやすいと判断した。

研究成果

• [文献書誌] N.Takeda,M.Kato,Y.Taniguchi: "Pressure-and Thermally-Induced Reversible Changes in the Secondary Structure of Ribonuclease A Studied by FT-IR Spectroscopy" Biochemistry. 34. 5980-5987 (1996)
• [文献書誌] K.Koga,P.Westh,S.Sawamura and Y.Tanigucgi: "Normalized Fluctuations,H_2O vsn-Hexane Site-Correlated Percolation" J.Chem.Phys.105. 2028-2033 (1996)
• [文献書誌] Y.Koga: "Mixing Schemes in Agaeons Solutions of Non electrolytes : A Thermodynamic Approach" J.Phys.Chem.100. 5172-5181 (1996)
• [文献書誌] E.Lloyd,D.L.Burk,J.C.Ferrer,R.Maurus,J.Doran,P.R.Carey,G.D.Brayer,A.G.Mauk: "Electrostatic Modification of the Active Site of Myoglobin : Characterization of the Proxinal Ser92 ASP Variant" Biochemistry. 35. 11901-11912 (1996)
• [文献書誌] S.P.Rafferty,J.G.Guillemette,A.M.Berghuis,M.Smith.G.D.Brayer,A.G.Mauk: "Mechanistic and Stractural Contributions of Gitical Surface and Internal Residues to Cytochrone C Electron Transfer Reactivity" J.Biomem.Bioenerg.(発表予定).
• [文献書誌] P.Westh,Y.Koga: "Intermolecular Interactions of Lysozyme and Small Alcohols : A Calorimetric Investisation" J.Phys.Chem.(発表予定).