研究課題
国際学術研究
海洋空間の利用を考える上で浮遊式の超大型海洋構造物の建造が考えられている。例えば騒音問題と土地問題、環境汚染問題を一挙に解決出来る浮体型の海上空港等もその一例と言って良いであろう。この様な超大型浮体を実現するためには波浪中の挙動も含めて海洋環境中での安全性、信頼性を十分把握評価しておかなければならない。そのためには浮体に働く波、風、潮流等の流体力学的な外力等を正確に知るとともに流力弾性問題としての浮体の弾性応答も含めた挙動を推定出来るようにし、計画・設計にフィードバックする必要がある。本研究は日本で建造実績がありブラジルで使用実績のある石油掘削用の浮遊式海洋構造物を基にして、超大型浮体に働く流体力、弾性応答の推定法及び構造物の安全性、信頼性の評価をする手法および応答、姿勢制御について研究する事を目的とするものである。本研究の目的を達成する為に相互に研究者を派遣した。特に大型海洋構造物の運用現場のあるブラジルのカンポス沖の視察は有益であった。また水槽実験の相互確認も有益であった。3年間の協力研究の結果、多柱式の大型浮体の場合のコラム間の干渉の確認、波漂流力など流体力に関する知見、安全性に関連した姿勢制御手法に関して多くの知見が得られた。特に姿勢制御については空気式アクチュエータの導入を提案し、モード合成法により弾性を考慮した数値シミュレーションで最適制御を行った結果、アクチュエー夕の不等間隔配置時にも良好な姿勢回復制御が可能である事がわかった。また全長約7mのモデルによる水槽実験により姿勢回復制御の可能性およびその限界などを明らかにする事が出来た。