研究課題
中国では、土砂を含む水の輸送用として、固液二相流遠心ポンプ特性に関心が高い。しかし、内部流動に関する研究例が少なく、その特性については不明な点が多い。本研究は、固液二相流遠心ポンプの内部流れを理論、実験両面から明らかにし、固液二相流遠心ポンプの特性を理論的に予測しうる方法を確立することを目的として計画された。九州工学大学側が実験部分を主に担当し、清華大学側が理論計算を担当した。前年度作製した供試ポンプを含む固液二相流試験装置を使用し、固体濃度と固体粒子径をパラメータとしたポンプ性能試験によりポンプ性能を測定した。同時に、ポンプケーシング壁面の変動圧力を計測し、羽根間流路の圧力分布や圧力変動の大きさを求めた。固液二相流動状態での圧力分布や圧力変動量は清水時のものと比べられ、その差異が明らかにされた。さらに、透明ケーシングの供試ポンプ羽根車内の固液二相流動状態流れを高速度ビデオカメラによって撮影し、可視化画像の処理によって、羽根車内の粒子分布を求めた。清華大学側では、液単相時の流れ場解析によって計算された圧力場を基に固体粒子の運動方程式を解き、羽根車内の粒子濃度分布を求めるプログラムの作成が進んでいる。粒子濃度が低い場合について、九州工業大学での実験結果を、清華大学側で開発された二相流動解析プログラムによって計算された圧力や粒子分布と比較した結果、定性的な一致が見られた。しかし、定量的には、満足のいくものではなく、解析モデルの改良が必要である。次年度も引き続き個々の研究を継続し、お互いのデータを比較検討し合う予定にしている。