研究課題
(1)外部回路電流および空間電荷分布同時測定装置の開発従来の空間電荷分布測定装置を改良し、試料に直流高電圧を印加しながら同時に空間電荷分布を測定できる装置を開発した。この測定結果に、前年度までに開発していた伝導電流解析プログラムを応用することによって、これまで不可能であった直流高電圧印加状態の試料中の伝導電流を算出し、伝導電流分布を観察できるようになった。(2)高速測定装置の開発従来の測定装置では、測定時間が数秒単位であったが、新しいパルス発生器を導入することにより、高速測定システムを開発し、測定間隔がミリ秒単位以下(最小50μs)で可能となった。これにより、固体絶縁材料と液体絶縁材料の複合材料における電荷分布の経時変化を観測した。(3)解析シミュレーションプログラムの応用前年度に開発した解析法により以下の解析を行った。1.アセトフェノン塗布低密度ポリエチレンの伝導電流特性解析電力ケーブルなどの絶縁材料である架橋ポリエチレンを作製する際に生じる架橋分解残渣の一つ、アセトフェノンを低密度ポリエチレンに塗布すると電荷の注入が促進される。この注入電流を前年度に開発した解析手法を用いて求め、位置によって伝導電流が異なることを明らかにした。2.電子線照射したPMMA中の電荷の移動度解析昨年度までに、電子線照射による劣化部分と、未劣化部分では電荷の移動度が異なることを見いだしていたが、今年度は劣化部分の移動度を算出し、その温度依存性を調べ、温度上昇と移動度の増加の相関について調査した。3.γ線照射した低密度ポリエチレン中における電荷分布経時変化の解析γ線を照射した低密度ポリエチレンに直流電圧を印加すると陰極に正電荷が現れるが、そのメカニズムを簡単なモデルを立てて解析し、実際の電荷分布の移動と定量的に比較したところ、よく一致することが分かった。
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