研究課題
本年度は、日常的な研究活動に加え、1)第1回編集委員会(平成10年6月4日〜11日/金沢工業大学において)、及び2)第2回編集委員会(平成10年10月13日〜17日/ローズ・ハルマン工科大学)を開催した。これらの編集会議で、平成8年11月に開催した第1回ワークショップ並びに平成9年7月に開催した第2回ワークショップの内容(講演録)を再度分析し、これらの成果が本研究課題で目指した目的をある程度達成していると判断し、これらの文書を中心として、成果報告書をまとめることに合意した。これ以外の本年度の研究活動の結果として、次のような事柄を挙げることができる。1) 次世紀のエンジニアを育てるための教育には、全く新しいパラダイムが必要であるという認識が、日本の工学教育関係者の間でも、広がっている。日本工学教育協会、日本工学会、日本学術会議などが中心となって、米国のABETを範とした、日本技術者教育認定機構(JABEE)を平成11年6月に発足させる予定である。このJABEEの共通基準は、今後の工学教育における教養教育の役割を方向づける内容となっている。2) この共通基準の中で、特に本課題に関連深いものとしては、「(a)人類の幸福と・福祉とは何かについて考える能力と素養、(b)工学的解決法の社会および地球環境に及ぼす効果、価値に関する理解力や責任など技術者として社会に対する責任を自覚する能力、(c)コミュニケーション能力、(e)自己学習能力」などがある。3) ABETおよびJABEEの認定基準を考慮して、研究代表者は、金沢工業大学における教養教育の目的の私案を作成した。4) 教育目標の達成度を測定するための手法は、現在米国でさまざまな方法が考案されている。その中で、有望なものの一つは、ローズ・ハルマンエ科大学で試行されている「Electronic Portfolio」と呼ばれる方法である。