研究分担者 |
UZI Kafkafi ヘブライ大学, 農学部, 教授
大槻 恭一 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80183763)
北村 義信 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80284008)
井上 光弘 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (90032309)
玉井 重信 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (60026606)
KAFKAFI Uzi Hebrew Univ., Faculty of Agriculture, Professor
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研究概要 |
1) 計量型ライシメータを用いて,オレンジを対象に塩水灌漑を行った。塩水は,2000mg/l(EC3.8dS/m)とした。この結果,塩水灌漑条件下の蒸発散量は水道水灌漑条件下に比べ,約30%減少した。リン酸の葉内含有量が塩水区で小さく,土壌水の浸透圧による吸水阻害だけでなく,イオンストレスによる生育阻害も生じており,塩水灌漑による生育への影響が大きいことを示した。 2) 比較的耐塩性の高いタブノキを用いて塩水灌漑による樹木の成長量と養分動態を調べた。塩水は1)と同じものを用いた。この結果,少施肥区よりも多施肥区の方が樹木の肥大生長量が大きかった。塩水灌漑区では,植物体内でのカリウム,窒素含有率が低く,このことが塩水灌漑による樹木の成長量低下の一因と考えられる。 3) 点滴灌漑における土壌水・養分環境管理の実用化のために,土壌水分制御下の野菜栽培試験を行った。砂地圃場の葉野菜の場合,品質の良好な野菜を生産する灌漑開始点はpFl.3-1.48の範囲であり,一般的な灌漑開始点(pF2.5),停止点(pF1.6-1.8)には,問題があることを示唆した。 4) イスラエルの水資源の開発・保全管理の実態,水政策等をレビューし,水資源の将来的問題及び世界最先端といわれる同国の節水的灌漑技術発展の要因を分析整理した。 5) 再生紙マルチがもたらす微気象,土壌水分,作物生育の改善効果について検討し,日射が強いほど地温抑制効果が大きく,地表付近に保水する機能を有すること等を明らかにした。同資材は乾燥地での環境保全型農業開発に有用であることを示唆した。 6) 蒸発比限界(TRL)の概念は,作物の成長阻害要因がなく,蒸発ロスの無い条件下における最小必要水量の算定に有用であることを示した。 7) 土壌中の不均一流の発生機構と溶質移動の数値モデル構築に関する基礎的研究を行い,団粒間隙構造に応じたモデルの適用条件を示した。
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