研究課題
地域の概況調査の結果に基づいて、熱帯乾燥地としての典型的な自然立地条件にあるバリ島南部のブキト村を調査研究地域並びに試験圃場設置場所に選定した。試験地域の年降雨量は1552mmで、その殆どが雨季の4か月に集中し、他の8か月は厳しい乾季である。また、平均気温は25〜29℃、関係湿度は65〜86%の範囲に分布している。この地域内の標準的な条件の野草地約16アールを借上げ、以下のような手順で圃場試験を開始した。まず、圃場の整備に先立って試験地の植生を調査するとともに、区ごとの土壌を採取してpH価、水分、圃場容水量、有機炭素含量、総窒素含量、有効態リン含量、有効態カリ含量、砂礫含量、粘土含量等を調査した。圃場の整備方法は、まず手作業により耕起、整地を行った後各プロットに区分してそれぞれの栽植・播種を行った。実験圃場を傾斜に従って4プロットに区分し、それぞれのブロックをさらに4区分し、(1)野草区、(2)食用作物区、(3)野草+Gliricidia(マメ科飼料木:G)の混作区、(4)食用作物+Gの混作区を配置した。なお、試験の調査項目はGの生育特性と飼料生産性並びの飼料栄養価、間作作物の生育特性と収量並びに生産性の品質等、野草の植生と収量、土壌の養分と物理性並びに侵食状況などである。本試験は開始されて3か月に満たないので研究成果は多くないが、開始後6週間の資料から(1)作物の発芽率はダイズで15〜21%、トウモロコシで77〜85%、キャッサバで80〜84%であり、(2)Gの活着率は63〜75%であること、また、(3)栽植前土壌について実施した土壌分析の結果より、試験開始時の土壌条件はpH価6.6〜7.3、水分含量8.5〜9.7%、圃場容水量23.8〜35.4%、有機炭素含量2.1〜3.0%、総窒素含量0.10〜0.14%、有効態リン含量13.2〜16.5ppm、有効態カリ含量15.4〜42.1ppmなどであることが知られた。
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