研究課題/領域番号 |
08045062
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
斉藤 佑尚 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (30134810)
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研究分担者 |
BLEACKLEY Ch Deptartment. of Biochemistry, Univ. Alberta, Professor
MCELHANEY Ro Deptartment. of Biochemistry, Univ. Alberta, Professor
高木 淳一 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (90212000)
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キーワード | 腫瘍細胞 / 血小板凝集 / 血液凝固 / 組織因子 / EPR-1 / 血液凝固第V因子 / 分化誘導 / サブトラクションクローニング |
研究概要 |
ガン患者の代表的な死因の一つに血栓症がある。これはガン細胞が血小板凝集・血液凝固を促進するからと考えられる。実際私たちは、神経芽種細胞であるGOTO細胞を血小板多血漿に加えると血小板が凝集することを見出した。本年は以下の研究を行った。(研究成果はいずれも発表準備中である。) (1)GOTO細胞を正常血漿に加えるとトロンビンを産生することを明らかにした。しかしこの反応は凝固第X因子欠損血漿では認められなかった。さらに詳細な検討を加えた結果、GOTO細胞は細胞表面の組織因子および凝固第VII因子によって凝固第X因子を活性化し、さらにこの活性化された因子と細胞表面上の補因子との共同作業によってプロトロンビンをトロンビンに活性化することを明らかにした。この補因子は、今までに発表されている血液凝固第V因子およびEPR-1と呼ばれる物質とは異なることを、単クロン抗体を用いる阻害実験およびフローサイトメトリーによって明らかにした。 (2)私たちはさらに、GOTO細胞を分化誘導させ、グリア細胞状にすると上記の凝固第X因子およびプロトロンビン活性化能のいずれも消失することを発見した。 (3)そこで腫瘍細胞表面上に特異的に発現されていると考えられるプロトロンビンをトロンビンに活性化する反応に関与する補因子のクローニングを行う。そのために分化前後のGOTO細胞を用い、サブトラクションクローニングを開始した。 (4)GOTO細胞をマウスに免疫し、単クロン抗体を得た。しかしその中にはGOTO細胞によるトロンビン形成反応を阻害する単クロン抗体は得られなかった。またGOTO細胞の分化誘導前後で変化する表面抗原を認識する単クロン抗体も得られなかった。しかし、予想しなかったことだが、GOTO細胞上の大変に極性の高い脂質を特異的に認識する単クロン抗体が得られ、この抗原を特定する実験を開始した。
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