研究課題/領域番号 |
08045069
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小林 弘祐 北里大学, 医学部, 講師 (70153632)
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研究分担者 |
三藤 久 北里大学, 医学部, 助手 (40260856)
相馬 一亥 北里大学, 医学部, 助教授 (00112665)
WILLIAM Hur ハーバード大学, 医学部・マサチューセッツ総合病院, 助教授
WARREN Zapo ハーバード大学, 医学部・マサチューセッツ総合病院, 教授
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キーワード | 一酸化窒素 / 一酸化窒素吸入療法 / 肺損傷 / 肺障害 / 高濃度酸素 / ノックアウトマウス / 一酸化窒素合成酵素 / ニトロタイロシン |
研究概要 |
iNosノックアオウト(iNOS^<-/->)マウスを100%O_2環境下で飼育し、対照のwild-typeマウスと比較した。生存率、O_2負荷前と負荷後3日目の気管支胚胞洗浄液の細胞像、および肺の4%パラホルムアルデヒド固定標本のH&E染色およびnitrotyrosine (NT)の免疫組織染色所見を検討した。 iNOS^<-/->マウスは、50%生存が100%O_2吸入後3日目であったが、wild-typeマウスでは5日目であり有意差があった。また、気管支肺胞洗浄液の細胞所見および肺組織のH&E染色所見でも、iNOS^<-/->マウスは、wild-typeマウスに較べて炎症所見が強かった。 NTはNOとsuperoxide anionとが反応して生じたperoxynitriteにより、tyrosineのphenol基がニトロ化して、形成されると考えられているが、1)wild-typeマウスのO_2負荷前でも、気管支上皮細胞と血管内皮にNTの染色は陽性で、2)wild-typeマウスのO_2負荷3日目では、さらに、胚胞II型上皮、胚胞マクロファージ、毛細血管壁にNTの染色が陽性であった。一方、3)iNOS^<-/->マウスのO_2負荷前では、wild-typeマウスと同様、気管支上皮細胞と血管内皮にNTの染色が陽性であったが、4)O_2負荷3日目では、NT染色は気管支上皮細胞と血管内皮を含め消失していた。 NTの所見から見ると、peroxynitriteは必ずしも組織障害には関係しておらず、むしろ、胚胞マクロファージや接着分子を障害し、炎症を沈静化している可能性も考えられた。 iNOS由来のNOは肺障害を保護する方向に働いているようであり、肺障害患者でのNO吸入療法を支持する証拠の一つになりえる。
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